"革ジャン=武骨"を覆す、モダンな上品顔がキモ!
第298回目は、ジェームス・グロースのレザージャケットです。
創業は1876年。英国のモーターサイクルカルチャーに寄り添い、男のライダーファッションを彩ってきた「ジェームス・グロース」。およそ150年もの歴史を持ち、今もなお多くのファンを抱える同ブランドですが、1971年に一度その幕を閉じていたのはご存知でしょうか? そして2013年に復刻し、日本に上陸したのは2015年と割と最近の話。リ・ブランディングとともに復刻したジェームス・グロースは、これまで男らしさの象徴だった革ジャンのイメージを払拭するように、ラグジュアリーでモードなレザーウェアが特徴です。
写真は、ジェームス・グロース最初期のシングルライダースをベースにした定番「レーシング」。全ラインナップの中でも最もミニマルである本作は、コーデを選ばずに羽織るだけでモダンなルックスをモノにできます。その秘密は、英国産らしいシャープなシルエットと、最上級のシープレザー。ラギッドな米国産に対し、肩幅が狭く身幅も細い英国産はより都会的な雰囲気に。そこにシープレザー特有の柔らかく滑らかな質感が相まって、エレガントなスタイルを確立するというわけ。一点一点丁寧にベジタブルタンニン鞣しを施し、経年変化による艶出しが楽しめるので、着込むほどにリュクスなムードを加速させます。
80年代90年代のアメカジブームを体験してきたFORZA世代なら、一から革を育て男らしさを示す革ジャンをお持ちかと。その経験があり年齢を重ねた今、狙うべきは大人に相応しい上品な着こなしを可能にする逸品です。栄枯盛衰を経験しながら研鑽を続け、現代に蘇った老舗ブランドの革ジャンは、頼れる鉄板アイテムになるはず。
レーシングと並ぶ鉄板定番と言えば、同じくアーカイブ復刻した「マニラ」。ジッパーカバーや背面のシンチバックなど、オーセンティックなディテールを配する一方でシルエットは細身に構築。そこに上質なカウレザーの質感が合わされば、大人の色気を演出します。
ラグジュアリーさを際立たせるならムートンがオススメ。ディテールを敢えて削ぎ落とし、くどくならない好バランスが魅力。あくまでスタイリッシュなルックスをキープします。ナッパ加工により、しなやかな皮面を獲得するとともに手入れしやすいのも嬉しいポイント。
Photo:Naoto Otsubo
Styling:Takahiro Takashio
Text:Hayato Hosoya
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