袖を通せばわかる! 美しいのに楽ちんな唯一無二のシルエット
第296回目は、タリアトーレのジャケットです。

名ブランドと呼ばれるには、年月をかけた研鑽によって生まれた、世代を超えて愛される定番があってこそ。つまり長く人気であり続けるブランドには、それに相応しい名品が揃っているってこと。イタリア発のテーラードブランドの「タリアトーレ」もその一つです。前置きが長くなりましたが、前回ご紹介した「ベスビオ」に負けず劣らずの鉄板定番があるんです! それがこちらの「モンテカルロ」。
出自を辿ると1960年代に創業したレラリオ社に端を発し、その二代目となるピーノ氏によって1998年に設立されたタリアトーレ。老舗テーラーの伝統と技術を受け継いだ同ブランドは、美麗なシルエットに定評があります。アンコン仕立てのモンテカルロも例に漏れず。
腰回りをキュッと絞り、立体的でシャープなシェイプが大人の色気を醸し出します。とはいえ窮屈さはなく、背面に向かって大きくずらした肩線が運動性を向上しリラックスした着心地に。しかも正面から肩線が見えないため奥行きのあるルックスを構築します。素材は、肌触りの良いヴァージンウール100%。敢えて度目の荒いホップサック調の生地で織り上げることで、保温性をキープしながらシワになりにくい嬉しい機能性も見どころです。
セクシーなシルエット構築と機能性の好バランスが、モンテカルロがベストセラーたる所以。カジュアルシーンだけでなく、今や働く大人たちの定番であるビジカジにも大いに活躍してくれます。

レザージャケットと聞くと男らしい印象ですが、スーツブランドが手がければエレガントな一着に。新定番の「カールトン」は上質なラムレザーを採用。装飾を排したシンプルデザインなので、タリアトーレ最大の魅力である立体的なパターンとグラマラスなシルエットを堪能できます。

自身の名を冠したピーノ レラリオ ラインの新定番。従来のモデルからゴージを低く設定した一着は、クラシック回帰の流れもあって今どきな雰囲気を感じさせます。ヘリンボーン柄の随所に配されたマルチカラーの糸と、ラペルピンとボタンのゴールドがさり気ないアクセントに。

8万9000円(税抜)/タリアトーレ(トレメッツォ)



Photo:Naoto Otsubo
Styling:Takahiro Takashio
Text:Hayato Hosoya
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トレメッツォ 03-5464-1158