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【日本未公開映画も上映】ジャン=ポール・ベルモンド傑作選でたのしむ「名車とファッション」

2020.11.3 2020.11.3
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「プロフェッショナル」LE PROFESSIONNEL a film by Georges Lautner ©1981 STUDIOCANAL

フランスの名俳優、ジャン=ポール・ベルモンドといえば、コメディやシリアスなど様々なジャンルの映画に出演し、刑事から悪党まであらゆる役を演じ、自らスタントを行って「アクション俳優」というジャンルを生み出したことでも知られる。

1950年代に舞台での演技力で高い評価を得たベルモンドは、やがて映画の世界に進出、ジャン=リュック・ゴダールが監督した、1959年公開の映画『勝手にしやがれ』では、早くも主演に抜擢され、瞬く間に映画スターに上り詰めた。

ベルモンドが主演する映画といえば、このほか「気狂いピエロ」などに話題が集まるが、彼の“真髄”が溢れる1960年代〜70年代の傑作映画の多くは、日本ではDVD化が行われず、見ることができない状態が続いていた。そのため、これらを取り上げた「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」の今回の映画上映は、男らしさやワイルドさを持ち合わせたスーパースター・ベルモンドの魅力を、改めて知る素晴らしい機会と言えよう。

さらに傑作選で押さえておきたいポイントは、リマスターされたフィルム内に映る当時のパリや郊外、南仏などの風景、そこを走る多くのクルマたち、そして時代を反映したファッションなどが醸し出す“時代感”である。

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『オー!』HO! a film by Robert Enrico ©1968 - TF1 DROITS AUDIOVISUELS - MEGA FILMS 「マトラMS630」

クルマについては、「この登場人物はこれに乗るのか」というチョイスがニクイ。

傑作選から例にとると、ベルモントが元レーサーを演じる1968年の『オー!』では、主人公の「オー=オラン」が乗り込んだ青いレーシングカー、「マトラMS630」に注目したい。ル・マンも走った名マシンだ。主人公の恋人が乗るクルマには、当時でもとても珍しかった、イタリアの「シアタ 850スプリング」という、量産車をベースにしたカスタムのオープンカーが当てられていた。ファッショナブルな女性が颯爽と乗るクルマとして、なかなかニクい“配役”なのだ。

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『大頭脳』LE CERVEAU a film by Gerard Oury © 1969 Gaumont (France) / Dino de Laurentiis Cinematografica (Italy) 「シトロエン 11CVノルマル《トラクシオン・アヴァン》」

1969年製作の『大頭脳』では、「シトロエン」が印象かつ効果的に用いられる。主人公コンビは、戦前の名車・シトロエン 11CVノルマル《トラクシオン・アヴァン》に乗っているのだが、劇中に出るクルマは1950年代製で、見るからに古い。そのくたびれた姿が、主人公たちのキャラクターと抜群にマッチしている。「シトロエン ID19」は、なんとボディ後半を失っても走り続けた。11CVの「抜ける床」も、ID19の「前だけ走行」も、後輪を駆動するシャフトがない前輪駆動(FF)ゆえにできたアクションだ。

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『恐怖に襲われた街』PEUR SUR LA VILLE a film by Henri Verneuil © 1975 STUDIOCANAL - Nicolas Lebovici - Inficor - Tous Droits Réservés 「シムカ」

1975年の『恐怖に襲われた街』ではパリ市内での撮影がメインで、ベルモンドのアクションシーンも思わず手に汗を握る場面が多い。パリを走るクルマの中に、「フランス第4のメーカー」としてかつて存在した、「シムカ」が見られるのが時代を象徴する。

1976年公開の『危険を買う男』では、ベルモンドは一匹狼の事件解決請負人を演じる。クルマも数多く登場するが、中でも「乗り心地が良いクルマ」として有名なシトロエンの最上級車「CX」は、劇中でもゆるやかな動きを見せており、フランス車好きはその挙動に見入ってしまうことだろう。

そのほか、破天荒な警部役を演じる1978年製作の『警部』では、白いマフラーを首に巻くという伊達男全開なスタイルで、白い英国車「ケーターハム・スーパーセブン」を駆ってパリから南仏にやってくる。

また、日本では初の劇場公開となる、『プロフェッショナル』(1981年)でも、フィアット131とプジョー504という、日本では馴染みがかなり薄い渋いセダンによるカーチェイスがあり、古い欧州車ファンを釘付けにする。

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『恐怖に襲われた街』PEUR SUR LA VILLE a film by Henri Verneuil © 1975 STUDIOCANAL - Nicolas Lebovici - Inficor - Tous Droits Réservés 「ルノー16」

それにしても、今回の傑作選からクルマが活躍する映画をすべて見ると、「ルノー16」「プジョー504」の登場シーンが多いことに気づく。

主人公から敵役までの主要人物がほぼ全作で使用して、印象的なシーンをたくさん作り上げているのだ。クルマを人物に見立て、“最優秀助演賞”を与えるとすれば、その2車こそがふさわしいといえよう。1960年代後半から1970年代のベストセラーだったルノー16とプジョー504というクルマが、いかにフランスの生活に溶け込んでいたクルマだったのかがわかる。それも、映画に閉じ込められた当時の時代感なのだ。

出演した映画の多くでは、ベルモンドはスーツのまま激しいアクションをこなしており、ひめた身体能力の高さも窺い知れる。ベルモンドの鍛え上げられた体躯を覆うトレンチコートも実にカッコいい。

『オー!』での、ネクタイ集めが趣味というオーが着用するネクタイのセンスも参考になるし、『大頭脳』でベルモンドが着る茶色い革ジャン+ハイネックセーターの衣装も、陽気で若いギャングというキャラに合ったセンスが光る。

ベージュのジャケットと濃い色合いのシャツを着こなす、『危険を買う男』のクールなベルモンドも、そのファッショナブルさは21世紀のいまなお色褪せない。ベルモンドから滲み出るダンディズムの一端を、ファッションだけでも真似てみようではないか。

『ジャン=ポール・ベルモンド傑作選』
10/30(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

Text:遠藤イヅル(イラストレーター/ライター)

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