異なる素材感を組み合わせれば、同系色でも奥行きを出せます
新型コロナウイルスの収束にようやく光が見え始め、ついに緊急事態宣言が解除になりました。とはいえ、元通りの日常がすぐに戻ってくるわけではありません。感染拡大の長期化を防ぐためには、厚生労働省が公表している「新しい生活様式」に慣れることが重要。そんなわけで、手持ちの服をどう組み合わせるのが面白いのか、連日、自宅で研究中です。
アイテム
ライダーズジャケット/フィクサー
Tシャツ/クロスクローゼット
ジーンズ/ヤヌーク×YOSHIMASA HOSHIBA
サングラス/レイバン
バングル/フィクサー
リング/フィクサー
リング(馬蹄型)/マークマホーニー×ビルウォールレザー
ベルト/HTC
靴/イヴ・サンローラン
ところで皆さん、1999年ごろにブームになった「動物占い」って覚えていますか? あれで僕、黒ヒョウだったんですよね。で、その性格を読んでみると、物静かでストイック、獲物を虎視淡々と狙っている、といったことが書いてある。なるほどなぁと……。
妙に納得してしまって、以来、黒ヒョウに憧れるようになってしまいました。そう、今回ご紹介するのは、僕の中の黒ヒョウを表現したスタイルです(笑)。
黒ヒョウといえば、真っ先に思い浮かぶのが黒光りした しなやかな肢体。そんな妄想を叶えてくれるのが、黒の表革を使ったライダースではないかと思うのです。
振り返れば、人生初のライダースは16か17歳のとき。ショットのダブルが初体験でした。肩のエポーレットに星型のスタッズが付いた名作「ワンスター」なんていうのもありましたね。あれから何着ライダースを着てきたことか……。僕にとってライダースは、スーツと同じくらい なくてはならないものなんです。
ただ、いろんなタイプを着ているうちに、自分に似合うものと似合わないものが分かるようになりまして……。
ライダースはもちろん、その名の通りバイク乗りのためのジャケットなのですが、僕はバイク乗りじゃないし、ましてやパンクロッカーでもない。特にダブルはそのイメージが強いので、逆にそう見せないコーディネイトにするのが結構難しいんですよね。やはり本格派のものは革も肉厚だし、僕にはハード過ぎる気がして、気がつくとスマートな印象のシングルタイプが増えていました。
でも、そうなると今度はもう少しライダース特有の野生味が欲しくなったりするんですよね(苦笑)。そんなとき出合ったのが、このフィクサーの一着。シングルのようでいて、前合わせ部分がダブルになっている。ひと目で そのありそうでなかったユニークなデザインが気に入ってしまい、見つけた瞬間、脳内にドーパミンがドバドバですよ(笑)。
ライダースの中は黒T、デニムはLA生まれのヤヌークとコラボしたヤヌーク×YOSHIMASA HOSHIBAの一本です。これはかたちをイチからつくったモデルで、セルビッチ付きのブラックデニムを使っています。スリムに見えますが、ストレッチが効いていて至極快適。極力シンプルなデザインを心がけていますが、ヒップポケットの位置を下げたり、細かな部分までこだわっているので、発売を楽しみにしていてくださいね(2020年5月27日に発売予定)。
足元には、一昨年買ったイヴ・サンローランのブーツを合わせました。スニーカーにしようとも考えたのですが、頭から爪先まで黒で繋がっていたほうが黒ヒョウっぽいかなと……。そうすることでグッとシャープな印象が加速します。あとスエード素材というのもポイント。デニムの素材感に相性がよく、断然スマートに見えませんか?
こういう全身同系色でまとめるコーディネイトは、いろんな素材を組み合わせると奥行きが生まれます。同じ黒でも素材による色合いの違いを生かして、水墨画のような濃淡をつけてみると上手くまとまります。
さてさて、冒頭に触れた「新しい生活様式」ですが、くれぐれも自粛疲れには気をつけてくださいね。体を守ろうとするあまり、先にメンタルをやられたら元も子もないですから。いちばん大切なのは ルールにがんじがらめになることなく、息切れしないように続けること。
無理せず、油断せず、肩の力を抜いて この難局を一緒に乗り切りましょう!
今回のスタイルのキモは……。
●黒ヒョウの姿を、頭のなかで とことん妄想してみる。
●自分に似合うライダースと出合うのは 結構難しい。
●シンプルな組み合わせだけれど、細部にまでこだわって。
●同系色でまとめるときは、異なる素材感を組み合わせて奥行きを。
●自粛生活は、無理せず、油断せず、続けることが大切。
Photo: Ikuo Kubota (OWL)
Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba
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【エロサバ】-Hoshipedia
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