リクエスト特集第2弾。今回はスウェーデンの名車『ボルボ240』をお届けします。
特徴的な四角いデザインは、同社で1950年からチーフデザイナーを務めてきたヤン・ヴィルスガールドによるもの。『Car Designer of the Century』では20世紀を代表するカーデザイナー25人に数えられるなど、まさに欧州ミッドセンチュリーデザインの魅力が炸裂。同氏の言葉を借りるなら"Simple is beautiful"のお手本のようなデザインが魅力です。
ボルボ240(ニー・ヨン・マル)は、厳密にいうと200シリーズのなかのモデルとなります。ボルボの場合、百の位がシリーズ名、10の位がシリンダー数、1の位がドア数を示します。じゃあなんでゼロになっちゃったの?と思われるでしょうが、1980年以降、なぜかボルボは末尾をゼロに統一。結果、シンプルで覚えやすくなりました。
この200シリーズは1974年から1993年がタイムライン。中古車市場ではバブル期に売れた1990年モデルから1993年モデルが流通物件の主流です。よって、運転席にエアバッグが装備されます。ちなみに試乗車は1992年式でABS付き。
ザックリとスペックをご紹介。ボディサイズはワゴンで全長4,785×全幅1,715×全高1,475mm(セダン1,450mm)、ホイールベースはワゴン&セダン共通の2,650mm。
搭載するエンジンは2.3リッター直列4気筒SOHCで、最高出力115ps(約85kW)/5400rpm、最大トルク18.9kgm(約185Nm)/2750rpmを発生。トランスミッションは日本のアイシン精機製4速ATで信頼性は抜群。仕上げてしまえばサイフに優しいヤングタイマーです。
現代車両と数値を比較すればカメな印象の240ですが、ポテンシャルは侮れません。200シリーズのクーペ(ターボ)はモータースポーツ(グループA)で大活躍。その速さから"Flying brick"(空飛ぶレンガ)と呼ばれ称賛されました。その本質は基本骨格のタフネスとFRというパッケージが絶妙な匙加減の名車なのです。
中年Bはセダンを所有していたこともあり、ボルボ240は個人的にも思い入れある車両です。失礼ながら取材先も念入りに調べ『オート・ボルタ』さんに行き着きました。
代表の朝山さんは西海岸を中心にヴィンテージカー(コンクール・デレガンス級のモデル)を扱ってきたキャリアをもちます。帰国後はボルボ正規ディーラーにも勤務し240を新車で扱い、また、マイカーにしてきた人物です。
たっぷりとした空間は快適そのもの。エアコンもバッチリ効いて実用的。後席に陣取るオギーも大満足。240ってイイね!と一言。
都市計画の影響からオフィス棟を建てられず、バスがオフィス代わりと笑う朝山さん。「そろそろ2代目に譲る予定」とのことで、訪問時は是非ともご予約を。本気で購入を考える方なら、納得&大満足の専門店だと思います。
余談ですが朝山さんが240のテスト走行時に流すBGMは、カナダ出身でグラミー賞受賞歴のある女性ジャズ・ピアニスト、ダイアナ・クラールが歌うベサメ・ムーチョ。高速道路からワインディングロードまで、車内でジャズが楽しめればきっと合格点の仕上がりなのでしょうね。
Text:Seiichi Norishige(中年B)
Video:Yoshihide Shoshima
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