「さらに上をいくモデルを輩出する」 サーキットを礎にするベントレーの哲学!
ベントレーが売れています。ここ数年毎年のように台数を重ね、年間一万台超えをキープ。2019年は11000台を超えました。その要因はいろいろありますが、ベントレー初のSUVベンテイガの牽引は見逃せません。ウルトララグジュアリークラスの中でもデビューは早く、その後ランボルギーニ・ウルスやロールスロイス・カリナン、アストンマーティンDBXが後を追いようにリリースされました。
さて、そんなベンテイガですが、昨年新たなグレードがラインナップされたのをご存知でしょうか。それが今回スポットを当てるベンテイガスピードです。
ベントレーは、スタンダードモデルのパフォーマンス版モデルに“スピード”という名前をつけています。経緯は戦前のモデルになりますが、そのオマージュとして2007年から2ドアクーペのコンチネンタルGTに使い始めました。
ちなみに、彼らはそのさらに上のモデルも時として用意します。その時の名は“スーパースポーツ”。ロールバーを入れた2シーターというキャラは、サーキットを意識して作られたものです。
こういったハイパフォーマンスバージョンを用意するのは、ベントレーがそもそもレースを走るためにつくられたからです。その足跡を知らないと、豪華絢爛な高級車という印象で終わってしまいますが、そうではありません。創業時から続くサーキットでの実績は今も輝いていますし、そのポリシーは面々と受け継がれています。
前置きが長くなりましたが、ベンテイガスピードもまたそんなDNAを受け継ぎました。お馴染みの6リッターW12ツインターボから発せられる最高出力はなんと635ps。もはやイタリアのエキゾチックスーパーカーと肩を並べるどころか、レーシングカー並の数字です。
スタンダードの6リッターエンジンでも608psありますからもはやため息しか出ません。0-100km/h加速はスタンダードでも4.1秒なのにベンテイガスピードは3.9秒を叩き出します。いやはやお見事! ベンテイガには4リッターV8エンジン車もありますが、そちらは550psとなります。
では実際に走らせた印象ですが、かなりスポーティに味付けされています。レーシングカーのようなアルカンターラのステアリングホイールは確信犯ですね。それにクルマの挙動もクイックで、ステアリング操作に対し、グイッと鼻先の向きを変えます。その時の足さばきが軽快なのもいいですね。アクセルもブレーキもダイレクト感が伝わり、操作している感覚を楽しめます。
ドライブモードは、「コンフォート」、「スポーツ」の他に、ベントレーが推奨する「B」モードがあります。要するに“硬すぎず柔らかすぎず”といったところでしょう。個人的にはこれが好きです。
また、「カスタム」もあります。それは、エンジンとトランスミッション、ステアリング、サスペンション、のセッティングをそれぞれの好みに設定できるものです。なので、エンジンとトランスミッションを「スポーツ」にして、ステアリングとサスペンションを「コンフォート」にするなんてことが可能です。どうぞお好みで。
ただ言えるのは、エンジンとトランスミッションを「スポーツ」にした時のエキゾーストノートは絶品です。回転数を上げていくと低音から高音に変化していく旋律は最高ですね。ど迫力です。そこはやはりレースを起点としてきたメーカーだけに、「わかってらっしゃる!」と言いたくなる瞬間です。
エクステリアでは、ボディ同色のサイドスカート、大型のテールゲートスポイラーが目立ちます。只者ではない雰囲気プンプン。ダークティンテッドのヘッドライトもそうでしょう。それから22インチホイールとロープロファイルのタイヤ。存在感は抜群です。
といったベンテイガスピード。正直ベンテイガV8で十分楽しめるですが、スピードの味付けはクルマ好きを納得させる仕上がりであることは間違いありません。ベントレーの志は相当高そうです。