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あくびのメカニズムとは? 止める方法はある? あくびの疑問を解決

2019.8.5 2019.8.5
2019.8.5

「眠いから出る」だけじゃない、あくびの神秘!

大事な会議の途中であくびが止まらなくなってしまった……なんてことありませんか? 上司に見つからないよう必死であくびを嚙み殺すのも、なかなか大変ですよね。

しかしこの記事を読めば、重要な場面であくびをするのはむしろ褒められるべきといえるかもしれないことがわかるでしょう。あくびは実はまだまだ謎に満ちた現象ですが、今からその神秘に迫ってみましょう!

あくびが出る理由とは?

あくびは人間のみならず、他の哺乳類や鳥類、爬虫類や魚類にも起こる現象です。あくびをしている人を見ると、「眠そう」「退屈なのかな」という印象を受けますよね。そのため、人前ではあくびを我慢したり、手で口を隠したりするのが暗黙のルールのようになっています。しかし、あくびはなんのために出るのか、その本当のところをきちんと知っている人は少ないのではないでしょうか?

それもそのはず、あくびがどうして出るのかについては、研究者の間でもはっきりとした答えが見つかっていないのです。ただ、いくつかの説は唱えられているので、ここではあくびにまつわるエトセトラをご紹介したいと思います。

①睡眠から覚醒へ

あくびをしているときの人間の脳波を測定すると、覚醒時の脳波であるβ波が観測されます。あくびが身体に与える作用として、睡眠と覚醒の境界線にある状態から覚醒状態に向かわせる、覚醒作用があるのです。

朝起きてすぐの寝ぼけた状態であくびをするのは、覚醒しようとしているからと考えられます。夜にあくびが出るのは、眠くなってきたけれどまだがんばって起きていようとして、あくびにより覚醒を促しているのではないかと考えられるのです。

夜に車を運転しているときや、まだ明日のプレゼン資料作りが終わっていないとき、退屈だけど起きていなければならない会議中などに、あくびが出ることはありませんか? これらはすべて、この状況で寝てはいけないと感じて覚醒させようと脳があくびを出しているといえるのです。

②脳のオーバーヒートを防ぐ

あくびには、温度調節機能があるのではないかという研究成果も発表されています。脳の適温は約37度で、熱くなりすぎると反応時間に遅れが生じたり、記憶能力が低下したりと、働きが鈍くなってしまいます。パソコンやスマートフォンなどが熱くなると動作が重くなるのと似ていますね。そのため、あくびをして脳のオーバーヒートを防いでいるというのです。

具体的には、あごを大きく開くことによって頭蓋骨内へ流れる血液が増え、脳からは高温になってしまった血液が排出されやすくなる、といいます。また、あくびで鼻や口から周囲の冷たい空気を吸い込むことで、脳の熱を下げることもできると考えられています。

この説の裏付けとしては、ヒトは寒い冬より暑い夏に多くあくびをするという研究結果や、周囲の温度が低い環境下ではあくびの回数が減るという報告などがあります。脳を働かせるために、あくびで冷却しようとしているのですね。

③あくびはうつる?

人のあくびを見たとたん、自分もあくびをしてしまったことはありませんか? あくびはうつる、と聞いたことがある人もいるかもしれません。本当にあくびは伝染するのでしょうか?

あくびがうつるメカニズムも、実は未だはっきりとわかっていません。しかし、あくびは身体的な作用で出るだけではなく、社会的に共感や共鳴を示しているものもあるのではないかという説はあります。

赤ちゃんはあくびの動画を見てもあまりあくびをせず、反対にあくびの動画を見せられた大人はあくびをしてしまう傾向があるという研究報告があることからも、社会性が高まると人のあくびがうつるのではないかと考えられます。ヒトからイヌなど、違う種類の動物にもうつるということもわかっています。不思議な現象ではありますが、確かに自分のあくびが人にうつると、なんだかなごみますよね。

④緊張状態でなぜかあくびが

過度に緊張しているときや強いストレスを感じたときにも、あくびが起こるといいます。しかし、今まで持ってきたあくびのイメージと緊張状態というのはあまり結びつきませんよね。研究では、魚やサルなどの動物がオスどうしで争う前やケンカ中にあくびをしていると報告されています。強いストレスや不安をもたらす行動の前にあくびをしているというのです。

その原因は詳しく解明されてはいませんが、あくびによって緊張をゆるめ、覚醒を促しているのではないかという説があります。また、ストレスや不安が脳の温度を上げることがわかっているため、オーバーヒートを防ぐためにあくびで脳を冷やそうとしているとも考えられています。

さらには、ストレスを受けたときに作られる「コルチゾール」というホルモンの濃度が高くなるとあくびが起きて、あくびによりさらにコルチゾールの濃度が高まるため、それによりアドレナリンの分泌を促して脳の温度調節を担う視床下部に注意信号を発し、ストレスで過剰に脳が高温になることを防ごうとしているという説もあります。

⑤酸欠状態になっている

従来から唱えられていた説では、あくびには身体に酸素を送り込む効果があるとされてきました。そのため、体質やそのときの環境により酸欠状態になっている人は頻繁にあくびが出てしまうのではないかというのです。

酸欠体質の人は、理想的な数値より2~3%ほど血液中の酸素が少なくなっていて、これは全力で100メートル走を終えたあとに息切れしているのと同じような状態だといいます。体質による酸欠には、呼吸が浅く一度の呼吸で取り込める酸素の量が少ないために酸素が足りなくなっている場合が多く、あくびで補っているのではないかとされています。

また、満員電車や多くの人が集まる閉め切った狭い部屋などでは、通常の外気の酸素濃度と比べて約1%酸素が薄くなっています。一時的なら問題ありませんが、長時間そのような環境にいると酸欠になり、身体が酸素を取り入れなければと指令を出すのもうなずけます。

⑥生殖とも関係がある?

あくびの指令は「オキシトシン神経」という場所から発せられます。このオキシトシン神経は性行動と関係しているため、あくびは同時に男性の勃起を誘導するそう。ここから、人間の本能である生殖とあくびが深く関わっているのではないかと考えられているのです。

オキシトシンというホルモンには女性の出産時の子宮収縮作用があり、陣痛を起こして分娩を促すほか、乳腺に働きかけて母乳を分泌するのを促進するといいます。男女とも性的興奮が高まった際にオキシトシンが分泌され、肌が触れ合うと分泌量が増えていくので、「抱きしめホルモン」「愛情ホルモン」などとも呼ばれます。

あくびと生殖や性行動との関連性も、明確にはまだわかっていません。しかし、あくび自体が多くの動物の本能から起こっているのなら、生殖との関わりがあったとしても不思議ではないですよね。

⑦病気の可能性も

いつもあくびが頻繁に出て止まらないという場合、何らかの病気が原因となっている可能性も考えられます。眠りの質が悪く、寝つきが悪かったり眠りが浅くすぐ目が覚めてしまったりする「睡眠障害」、睡眠中に呼吸が一時止まっていて体内の酸素が減り、身体や脳が十分に休息を取れていない「睡眠時無呼吸症候群」などは、良質な睡眠が得られていないために日中あくびが出るということです。

睡眠時無呼吸症候群は、自分ではただの睡眠不足かと思っているケースも多くあるため、家族に眠っている間の呼吸を確認してもらったり、スマホアプリなどのツールを使って自分の睡眠中の状態をチェックしたりすると発見できるかもしれません。

また、頭痛の前兆、貧血、低血糖、熱中症などの場合もあくびが出ることがあるようです。あくびがずっと出る場合や何か身体に異変を感じた場合など、少しでもおかしいと思ったら病院に行って早めに医師の診断を受けましょう。

あくびを止める方法

どうしてもあくびを止めたい、あくびが出すぎて困っている……という人のために、あくびを止めることができるかもしれない方法を教えます。ただし、メカニズムが完全にわかっていない以上、絶対に止められるという保証はありませんのであしからず。

①睡眠不足を解消する

覚醒を促すためのあくびは、眠気が襲ってきているときにはどうしても起こりやすくなります。根本的にあくびがたくさん出るのを防ぎたいのであれば、やはり睡眠不足をきちんと解消するのが最も確実といえるでしょう。

夜寝る直前はスマートフォンなどのブルーライトを見るのをやめるようにし、入浴やホットドリンクで身体を温めて、リラックスして眠りにつきやすい状態にするようにしましょう。カフェインの入ったものを避けるのはもちろん、アルコールが眠りを浅くしてしまうため「寝酒」も逆効果です。枕や寝間着も自分の心地よいと感じるものをこだわって選ぶとぐっすり眠ることができますよ。

また、日中に眠気が抑えきれないときは、昼休みなどに15分前後の短い仮眠を取るのもよいでしょう。午後からも頭と身体がスッキリするのでオススメです。あまり長く眠ると覚醒しにくくなり、眠気対策としてもあくび予防としても効果が半減してしまうので、アラームなどをセットして短時間で目を覚ますようにしましょう。

②鼻呼吸をしてみる

あくびにより脳の熱を冷ましているというところから、効きすぎなくらい冷房が効いた部屋に行ったり、保冷剤や冷却シートなどで頭を冷やしたりするとあくびが止まるのではないかと言われています。しかし、会社で不意にあくびが出そうになったときにいきなりできる方法かと言われると、現実的ではありませんよね。

そんなときは、鼻呼吸を意識してみてください。あくびが出そうになったと思ったときに鼻から息を吸って吐くだけなので、いつでもどこでもできます。鼻呼吸を繰り返すと実際に前頭葉が冷却されるといいます。

実際に行われた実験でも、「あくびが出そうになったらこの呼吸をしてください」といくつかのグループに分けて呼吸パターンを決めておいたら、鼻から吸って吐くパターンを指定されたグループはほとんどあくびをしなかったというから、効果は期待できます。

③舌を動かして止める

あくびを止める方法としてその場で簡単にできるのが、舌を出して上唇を左右に動かしてなめたり、舌で前歯の裏側を触ったり、軽く舌を噛んだりするというもの。実際に止まったという声もあり、やってみる価値はありそうです。

また、唇とあご先の間、つまり下唇の真下あたりを親指と人さし指でギュッとつまむことでも、あくびに使う筋肉を固定してあくびを出ないようにさせられるため、あくびを止めることができるのだそう。あくびが出そうになったらすぐに強めの力でつまむのがポイントです。

④ストレスを軽減する

強い緊張やストレスを感じると、覚醒を促そうとするのか脳が熱くなってしまうのか他の原因があるのかはわかりませんが、あくびが出てしまいます。また、ストレスも原因のひとつと言われる「自律神経失調症」など自律神経のバランスが崩れると、あくびが出やすくなります。

急な上司のパワハラなどのストレスには対処のしようがありませんが、日常的にストレスを発散するよう心掛けて自分の精神的負担を軽減していくと、あくびも出にくくなるかもしれません。休みの日に趣味を思いきり楽しむなど、自分なりのストレス解消法を見つけておきましょう。

ストレッチや軽い運動などはストレス解消に効果があります。また、休みが取れれば旅行など非日常な体験を味わうのもいいかもしれません。友人と食事して、愚痴や悩みを聞いてもらうだけでも心が休まりますよ。

まとめ

あくびは眠い人がする、なんとなく人前でしてはいけないもののように思われがちですが、むしろ身体が覚醒しようとしていたり、緊張状態で寝てはいけないと思ったりすると起こる現象とも考えられます。あくびをしても許される場面なら、恥ずかしがらずに潔くあくびをしてしまったほうがいいかもしれませんね!

Photo:Getty Images
Text:N.M

KEYWORDS
健康 睡眠

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