驚かせるより効果的なしゃっくりの止め方とは?
突然「ヒック、ヒック……」と出てくるしゃっくり、誰しも一度は経験したことがありますよね。静かな会議室や電車内などで止まらなくなって、恥ずかしい思いをさせられた人もいるかもしれません。まさに今、そんな症状でお困りだという読者の方もきっといるはず。
そこで今回は、しゃっくりはなぜ、どんなときに起こるのか? そして数々のしゃっくりを止める方法の中で本当に効き目があるのは結局どれなのか? 長い間止まらないしゃっくりはもしかして病気かも!? などなど、しゃっくりにまつわるエトセトラを徹底的に解明します!
目次
■しゃっくりはどうやって起こるのか
■しゃっくりが起こる原因
①中枢性のしゃっくり
②末梢性のしゃっくり
③横隔膜性のしゃっくり
■しゃっくりの止め方とその効き目
①びっくりさせる
②水を飲む
③息を止める
④耳の穴に指を入れる
⑤舌を引っ張る
■止まらない場合は病気のおそれも
①長く続く場合は病院へ
②漢方薬で治せることも
■しゃっくりを100回したら死ぬ!?
■しゃっくりと正しく付き合おう
しゃっくりはどうやって起こるのか
しゃっくりは横隔膜がけいれんすることで起こる、というのを聞いたことがあるかもしれません。横隔膜は胸とお腹の間にあり、呼吸をするときに伸び縮みして肺をふくらませたり縮ませたりする役割を果たしています。ちなみに焼肉の「ハラミ」はこの横隔膜のことです。

この横隔膜がけいれんを起こすことで突然収縮し、肺に急激に空気を吸い込むことでしゃっくりが起こり、声帯の筋肉も同時に収縮することで息の通る管が狭くなって、あの「ヒック」という音が出るのです。
横隔膜がけいれんを起こすメカニズムはまだはっきりと解明されてはいませんが、横隔神経や迷走神経が深く関わっているとされています。「横隔膜だから横隔神経というのが関係あるのはわかるけど、迷走神経って?」と思うかもしれません。
迷走神経とは、その名のとおり全身を「迷走」しています。脳から腹部の主要臓器まで、さまざまな箇所を上へ下へと走っているのです。呼吸や循環にも関係しているため、しゃっくりとも関連するということなのです。
しゃっくりが起こる原因
しゃっくりは大きく3つに分けられます。そのタイプによって、何が原因で起こるものなのかも変わってきます。
①中枢性のしゃっくり
中枢性のしゃっくりは、迷走神経が延髄の呼吸中枢を刺激することが原因で起こります。このタイプは48時間以上しゃっくりが止まらない「持続性」、1ヶ月を超えてもしゃっくりが続く「難治性」の人に多く、脳梗塞や脳腫瘍といった中枢神経系の病気の後遺症として症状が出ることもあります。他にも、アルコール中毒や睡眠薬の服用が原因となる場合があります。

②末梢性のしゃっくり
末梢性のしゃっくりは、迷走神経や横隔神経が直接何らかの刺激を受けることで起こります。呼吸器系や頸椎などの疾患や、胃腸炎や腸閉塞など消化管に関連した病気によって、迷走神経および横隔神経が刺激されることが原因です。脳の中枢神経ではなく末梢神経に関わる病気で引き起こされるため、末梢性と呼ばれます。
③横隔膜性のしゃっくり
さまざまな神経ではなく横隔膜そのものが刺激されることで起こるしゃっくりは、横隔膜性タイプです。48時間以内におさまる一般的なしゃっくりは、多くの場合このタイプに当てはまります。何かしらの疾患が横隔膜に刺激を与えることもありますが、まずは生活の中に原因が潜んでいると考えられます。

・飲食
何かを食べたり飲んだりするとしゃっくりが出る、という人は多く、熱いものや辛いもの、炭酸飲料やアルコールなどが刺激になったり、ゆっくりよく噛むのではなくかきこむように食べてしまったことが原因で刺激が加わったりするのではないかとされています。
・吸い込む空気
お風呂からあがったときや、暖房の効いた部屋から外に出たときなど、吸い込む空気に寒暖差が生じたときにもしゃっくりは起こります。タバコを吸うとしゃっくりが出る、という人も、タバコそのものではなく喫煙時に吸い込む空気の寒暖差が原因となっていると考えられます。

・感情
笑いすぎるとしゃっくりが出るほか、精神的にショックを受けたりストレスを感じたりするとしゃっくりが起こることもあるそう。しゃっくりに精神状態も関連しているとは、少し意外ですよね。
しゃっくりの止め方とその効き目
しゃっくりを止める方法にはさまざまなものがあります。横隔膜のけいれんがなぜ起こるのかがわからない以上、誰にでも必ず効果がある方法というのは見つかっていません。しかし、昔から言い伝えられているしゃっくりの止め方の中には、理に適っているものも多いのです。
①びっくりさせる
オススメ度:★
一番有名なのが、「しゃっくりしている人をびっくりさせると止まる」というもの。効果が見られない場合もありますが、びっくりすることで呼吸が一度止まり、そこから息が整うことで通常時の状態に戻ることも考えられます。

②水を飲む
オススメ度:★★
冷たい水を、息を止めて飲む、左右を向いて飲む、下を向いて飲む、割り箸をコップに十字状に置いて4つのフチから飲む、コップやどんぶりの手前ではなく向こう側から飲む……などなど、「水を飲む」ことでしゃっくりを止めようとする方法は数多く伝えられています。
冷たい水を飲むことで口の中の粘膜に張り巡らされている迷走神経が麻痺したり、下や変な方向を向いて水を飲み込むことで横隔膜の位置を正しくリセットしたりすることができるため、効果がある方法のひとつといえます。
③息を止める
オススメ度:★★
息を1分間止めるという方法は、横隔膜のけいれんをストップさせるねらいがあるでしょう。より効果的にしゃっくりを止めるには、深呼吸を組み合わせるものがオススメです。

ゆっくりと息をギリギリまで吐き出したら、今度は肺をいっぱいに満たすつもりでゆっくりと息を吸い込みます。めいっぱい息を吸い込んだら、そこで息を止めます。これをしゃっくりが止まるまで繰り返す、という方法です。
息を止めたり、またビニール袋などを口に当てて吐いた息を吸い込んだりして、血中の二酸化炭素濃度を上げることも効果があるとされています。
④耳の穴に指を入れる
オススメ度:★★
少しユニークなのが、両耳の穴に指を入れ、1分前後強く耳の奥を押さえ続けるという方法。これは、耳の奥の迷走神経に刺激を与えることで、間接的に横隔膜のけいれんを止めることができるというものです。見た目はとてもしゃっくりを止めようとしているようには思えなくなりますが、実際に効果が期待できるやり方です。

⑤舌を引っ張る
オススメ度:★★★
実際に病院でしゃっくりが止まらない患者に対して行われることもあるのが、舌をつかんで30秒間ほど強く引っ張るという方法です。舌咽神経を刺激することで横隔膜の動きを正常な状態に戻すという原理で、少し痛みを伴いますが効果はあるようです。
素手でつかむと衛生上よくないので、ビニール手袋やハンカチなどを使用してもよいかもしれません。病院では医師が患者の舌を引っ張りますが、自分で引っ張っても同じ効果が得られます。