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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION アパレル業界の挑戦者たち

「Tシャツはだらしない。そんな固定観念を打破したくて」。若い2人の挑戦とは?

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ドレススタイルに合うTシャツがないので、そこを狙おう!

クラウドファンディングサイト(現在は募集終了)で面白いTシャツに出合った。decorationsというブランドが提案する“Dress T-shirt(D-shirt)”で、「現代のフォーマルシーンに合わせてTシャツをアップデートした」と説明する。FORZA STYLEでもビジネススタイルのカジュアル化は注目しているので、早速取材の連絡を取った。

「上質なジャケットに似合うフォーマルなTシャツ」を提案

decorationsは、東大の大学院生で国際政治を学ぶ23歳の浦山さんと、広告代理店でマーケティングを担当する社会人3年目25歳の山口さんの男性2人ユニット。

2人は2016年の夏にファッションテックスタートアップの長期インターンで出会い、意気投合。ファッションショーを見て流行を予測・分析したり、好きなファッションの話をしていたが、「考えているだけではダメ。モノを作ってみて世の中に受け入れられるかどうかチャレンジしてみよう」と、プロダクト第一弾の“Dress T-shirt(D-shirt)”を企画、世に問うためにクラウドファンディングに出してみたという。

ちなみにブランド名のdecorationsは、Black tieよりもさらにフォーマルなドレスコードから着想を得て付けたそうだ。今後は、セットアップやシューズなどを開発していき、「包括的にフォーマルスタイルの再定義」ができたらと意欲を見せる。


スーツスタイルのルールを再解釈した新しいプロダクト第一弾“Dress T-shirt(D-shirt)”

世の中に「ドレススタイルに合うTシャツ」がない!

――クラファンで見つけてお話を聞きたいと思いました。

山口 見つけていただいてありがとうございます。FORZA STYLEはいつも拝見していたので、連絡をいただいたとき気絶しそうでした(笑)。働き方改革が進む時代の流れにマッチした「ビジネスシーンで着られるTシャツ」というアイデアは面白いと思い、二人でリサーチすることから始めました。いろんなブランドやセレクトショップを巡ってTシャツを見ましたが、カジュアルでざっくりしたモノはあるけれど、ドレススタイルに合うTシャツがないので、そこを狙おうと思いました。半年くらい話し合いを重ねて、サンプルを作ってみました。

浦山 皆さんのイメージの中にも、「襟付きシャツはフォーマル、Tシャツはカジュアル」というのが前提にあると思います。カジュアル化が進んで、Tシャツを着る機会は増えているのに、街を歩いていても、働いていても、ドレスとして着られるTシャツが案外ないんですね。そこをきちんと提案すれば世の中に刺さるんじゃないかと思いました。

山口 自分は、大学時代からセットアップスーツに白Tと白スニーカーという格好が好きで。それで、「カジュアルを仕立て直す」をコンセプトに、Tシャツのサンプルを何度か作ってみて、実際に着用して着やすいし、オフィスに着て行っても「いいね!」という声が多かったので、最終的に「クラファンをやってみよう」と決意しました。

浦山 D-shirtは、ドレスシャツにも使用される最高級の細番手糸から作られた生地を使用しているので、素材はゴワつかず、しっとりした着心地で、高級感ある光沢もあって、学校でも「そのTシャツ面白いね」と評判になりました。白Tは誰もが着るものですが、僕らなりにこだわっただけでみんなが注目してくれて反応に驚きました。

山口 「ドレスのTシャツ=D-shirt」というカテゴリーの先駆けになれたらいいなとスタートしました。理想に近いモノができたので、評価は100点と言いたいところですが、もっと突き詰められると思い80~90点ですね。

浦山 僕も80点ですね。今後の伸びしろを含めて80点です。


左下のブランドマークはシャツのネームタグから着想を得たもので、脱いだときにアクセントになるように考えられている

「カジュアル=だらしない」という印象を変えるためのTシャツ

――山口さんは広告代理店で働いていて、仕事着の「ビジカジ化」はどう思っていますか。

山口 例えば、「オフィスではジャケットを着ていればいいよね」という“置きジャケ”は違うんじゃないかと思います。また、クライアントへ出向く際にとりあえずジャケットを羽織るというスタイルにも違和感を持っていました。ジャケットは“相手に失礼がないように着る”もので、スタイルとして成り立っているかどうかよりも、対外的な目線を気にしますよね。

浦山 働き方改革が進もうと、本質的な「相手に対する礼儀」は忘れてはいけないと思いますが、ビジネスシーンでシワシワのシャツがNGなら、「キレイめのしっかりしたTシャツ」は相手に礼儀を示すことになるのではないかと思います。

山口 情緒的な話になりますが、綿のカジュアルなTシャツでは、「さぁ、仕事だ」と仕事モードにはなれません。オフィスでビジカジは進んでいますが、ジャケットにカジュアルなTシャツというのは“ミスマッチ”だと思います。

浦山 理想論ではありますが、きちんとしていれば相手に対して礼儀を示していることになるので、それならTシャツでもいいはずです。D-shirtは、「カジュアル=だらしない」という印象を変えるもので、スーツやジャケットと対等に着られるインナーとしてのTシャツです。

山口 日本は昔から変化を嫌う国ですから、難しい部分があるかもしれませんが、オフィスでの着こなしのイメージを打破するスタイルを提案したいですね。


D-shirtが目指すのは“高級シャツ”。毎日着たくなるような快適さとリュクス感を両立した素材を使用している

「働く、生きる」を楽しくするためのスタイルを

――浦山さんは大学院生で就活中とのことですが、リクルートスーツ姿はどう思いますか。

浦山 ほとんどの就活生は黒のスーツを着ていて、自分は紺のスーツで就活をしていますが、就活生の本音は「変にはみ出さなくてもいい」という意識だと思います。服装で落とされたくないという思いも強いので横並びになるのはしょうがないですね。

――働き方改革についてはどう感じていますか。

浦山 働き方改革は生産性を上げるためのアプローチだと思いますが、学生の目から見ると、残業時間を減らして仕事が終わらない分をどうするのかという問題があり、業務の効率化の意識から考え方も変えていくしかないと思います。

山口 働き方改革については、私たち20代の若者の価値観に合わないかなと思いますね。働きたいと思う人は働けばいいし、自分の周りも「良いものを作りたい」と熱意を持っている人は多いです。

――では、働き方改革の流れが進む中で、decorationsからFORZAの読者にメッセージを。

浦山 僕たちのプロジェクトのD-shirtを、「着ることをもっと考える」ためにぜひ着てほしいと思います。仕事のときの対外的な目線の話をしましたが、仕事へのモチベーションや自分の気分を切り替えるなど、着ることの意味を考えるきっかけにしてください。

山口 D-shirtはファッションを楽しくするのはもちろん、「働く、生きる」を楽しくしていきたいという思いも込めています。干場編集長にもぜひ着てほしいです。

decorations
https://www.decorations-store.com/

Photo:Shimpei Suzuki
Text:Makoto Kajii



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