「スマホ老眼」 あなたは大丈夫?
現代では仕事でも私生活でも欠かせなくなっているスマートフォン、略してスマホですが、長時間使っていると、当然目が疲れてしまいますよね。
「最近スマホの文字が見づらい」「長時間スマホを操作したあとは遠くが霞んで見える」「夕方外が暗くなるとモノが見えにくくなる」
このような症状のうち一つでも当てはまったら、あなたは「スマホ老眼」かもしれません!
今回は恐ろしい現代病「スマホ老眼」についてご紹介します。
目次
■そもそも「スマホ老眼」とは?
■「スマホ老眼」の原因
■「スマホ老眼」の症状
■「スマホ老眼」と老眼の違い ー「スマホ老眼」は治る?治らない?ー
■「スマホ老眼」以外にもある! スマホによる健康侵害
①ドライアイ
②ブルーライト障害
③VDT症候群
■「スマホ老眼」対策
ー予防
ー改善
■まとめ
そもそも「スマホ老眼」とは?
「スマホ老眼」とは、スマホの画面を日常的に長時間見続けることによって、老眼のような症状が出てしまう現代病です。スマホが普及し始めた2012年頃より、10代から30代の比較的若い層が、老眼の場合と同じ症状を訴えるようになりました。「スマホ老眼」の特徴は、
・目の疲れによる一時的な症状であること。
・疲れ具合によって視力が不安定になること。
などが挙げられます。
「スマホ老眼」の原因
私たちの眼球には水晶体というカメラのレンズのようなものが備わっています。その水晶体のピントを合わせる機能を果たすのが、毛様体筋という筋肉です。
私たちが遠くを見ようとするとき、毛様体筋は緩み、水晶体は薄くなりますが、一方で、我々が近くを見ようとするときは、水晶体を厚くするために毛様体筋が緊張します。本来私たちの目は、遠くを見るほうが自然なのです。
つまりスマホの画面を見るときなど、モノを近くで見るときは、毛様体筋が緊張し、疲れてしまいます。さらに、長時間スマホの画面を見続ける場合、毛様体筋を長時間酷使するということになるので、筋肉が凝り固まってしまうのです。毛様体筋が凝り固まってしまうことによって、モノが見えづらくなったり、目が疲れてしまったり、頭痛を引き起こしたりしてしまいます。これが「スマホ老眼」です。
また、本などとは違いスマホは光媒体であるため、実は画面上を高速で光が移動しています。その光を目が追ってしまうと、さらに目を疲れさせてしまい「スマホ老眼」を引き起こします。
「スマホ老眼」の症状
以下に挙げる症状のうち一つでも当てはまったら、あなたも「スマホ老眼」かも……?
・スマホで文字を読むとき、小さくて見えづらいことがある。
・スマホを長時間操作した後、周りの景色が霞むことがある。
・目の焦点が合いづらく、眼鏡を外してスマホ画面を見たり、片目だけで見ようとすることがある。
・昼間よりも夜の方がモノが見えづらい。
・目が乾きやすい。
・長時間スマホを操作した後、頭痛がする。
「スマホ老眼」と老眼の違い ー「スマホ老眼」は治る?治らない?ー
先ほど説明した毛様体筋は、老化によって他の体の筋肉と同じように衰えていきます。また同時に水晶体も老化によって硬くなってしまうので、ピント調節機能がうまくいかなくなり、特に近いところが見えづらくなります。これが一般に言われる老眼です。しかし、「スマホ老眼」は毛様体筋が一時的に凝り固まっているだけです。
老化現象による老眼は、症状が出るのを遅めることはできますが、治すことはできません。しかし「スマホ老眼」は一時的に筋肉が凝り固まってしまっているだけなので、治すことが努力次第で可能です。しかし、永久に症状が進行するわけではない老眼に対して、「スマホ老眼」は本人が治す努力をしない限り、永久に症状が進行し続けます。これが「スマホ老眼」の恐ろしい点です。
「スマホ老眼」以外にもある! スマホによる健康侵害
「スマホ老眼」以外にもスマホによる健康侵害は以下の三つが挙げられます。
①ドライアイ
スマホを長時間見続けるとまばたきの回数が異常に減ってしまい、目は乾きやすくなります。また人は通常近くを見るとき副交感神経を働かせますが、光を発するスマホを見てしまうと交感神経がを興奮させてしまい、自律神経が乱れます。このようにして涙の分泌量が少なくなってしまうと、私たちはドライアイを発症してしまいます。
ドライアイの対策は、
・なるべく長時間のスマホ・パソコン操作を避ける。
・ドライアイ治療用の目薬をさす。
などが挙げられます。
②ブルーライト障害
ブルーライトとはスマホやパソコンから発せられる光のことです。白色LEDにもブルーライトは含まれるので、現代ではブルーライトを避けて通ることはできません。ブルーライト障害とは、ブルーライトを長時間浴びることで人間の眠気を誘う物質であるメラトニンの生成を抑制してしまうことをいいます。メラトニンが体内で少なくなってしまうと体内時計が狂い、睡眠障害、うつ病、癌、肥満などを引き起こすリスクが高まるとされています。
ブルーライト障害の対策は、
・なるべく長時間のスマホ・パソコン操作を避ける。
・ブルーライトカットの眼鏡をかける。
などが挙げられます。
③VDT症候群
VDT症候群とはスマホやパソコンなど、ディスプレイを用いた機器の長時間の操作(Visual Display Terminals)によって身体の不調をきたすことを言います。上に挙げたブルーライト障害と同じように、身体への症状だけではなく、睡眠障害や疲労感抑うつ症状などの精神疾患を引き起こすこともあります。
VDT症候群の対策は、
・なるべく長時間のスマホ・パソコン操作を避ける。
・心身をリラックスさせるために半身浴やアロマを焚くことなどを習慣づける。
などが挙げられます。
スマホは目だけではなく全身の健康へも悪影響を及ぼすのですね……。
「スマホ老眼」対策
ー予防
「スマホ老眼」を予防するために一番いい方法はそもそもスマホを使わないようにすることですが、現代ではそういうわけにもいかないですよね。予防策として以下のようなものが挙げられます。
・「スマホ休憩」を定期的にとる
スマホの画面を見続ける時間が1時間以上経ったら、10分から15分程遠くを眺めたりして、目を休めましょう。
・スマホの画面と目の間を40cm以上離す
日常的にスマホの画面がむしろ見づらいくらい目との間に距離を取ると良いでしょう。
・画面の明るさを暗くする
なるべく目に当たる光の量が少なくなるようにしましょう。最近ではブルーライトカット用のアプリもあるようです。ぜひ調べて見てください!
・生活リズムを整える
生活リズムが整っていなければ、人は体を十分に休めることができません。まずは睡眠サイクルを整えるなど、体をきちんと休ませられる環境を作ることから始めましょう。
ー改善
「予防以前にもうスマホ老眼かも……」という方は、改善に努めましょう。改善策は以下の通りです。
・目の周りを温める
目の周りを温めることによって、血行が良くなり、凝り固まった毛様体筋をほぐすことが可能です。例えば、水を含ませたタオルを電子レンジで数十秒温め、それを5分から10分程まぶたの上に乗せてみたり、また市販のホットアイマスクを使ってみるなど、方法は色々あります。
・老眼鏡を使って毛様体筋をほぐす
もともと目が悪く眼鏡をかけている人は眼鏡の上から、コンタクトを付けている人もコンタクトを付けたまま老眼鏡をかけることで、毛様体筋をほぐすことができます。もちろん老眼鏡をすると、見える景色がぼんやりすると思いますが、その状態でなるべく遠くを見てみましょう。5分以上その状態を続けてから老眼鏡を外し、スマホの画面を見るといつもよりくっきりと見やすくなっているはずです。老眼鏡は+2,0度のものがおすすめです。
・目薬をさす
最近ではドラッグストアなどで、毛様体筋をほぐす作用のある目薬が市販されています。
まとめ
いかがだったでしょうか?「スマホ老眼」という言葉を聞いたことのあった人もなかった人も、その危険性について十分理解いただけたと思います。
現代、人々の生活においてスマホは断ち切ろうとしても切れない必需品となっています。そのため、「スマホ老眼」のリスクはどうしても避けられませんが、きちんと使い方に注意することでリスクを下げることができます。
現代人として、正しいスマホの使い方をマスターしましょう!
Photo : Getty Images
Text : H.M