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【連載】先人に聞け! 第2回 メンズファッションディレクター赤峰幸生氏

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「美しい」と感じることの余裕をつくれ

第1回で干場義雅編集長と対談を行った、日本を代表するメンズファッションディレクター赤峰幸生さんに登場いただく「先人に聞け!」。年が明けて第45代アメリカ合衆国大統領に就任するドナルド・トランプ氏の着こなしを尋ねると、「あの赤いネクタイ姿は評するに値しません。なによりジャケットのボタンを留めていないのがいらつきますね」と言います。そんな赤峰さんに聞く、日本の男の「美しい」生き方とは。

干場編集長とその世代の男たちに期待すること

干場さんは男として歳をとる過程の中で、今はメディアに露出していくことも含めて、まだ彼なりの通過点だと思います。きっとこれから10~15年経つと立ち位置も変わってくるでしょうし、“味”が出てくる男になると期待しています。

その“味”出しについては彼も自分に足りないものを感じているはず。今は彼なりの計算が効いていますが、彼が計算通りに格好がつかなくなったときが大事。計算しなくてもできる状態になると大したものです。

そのためには、服以外の文化、芸術、民芸など幅広い過去の「人々の暮らし」に興味を持ち、それを趣味に変えていくことが必要です。たとえば、伝統工芸展などでのちょっとした立ち話でも、「この茶碗、16世紀の李朝時代の民窯で焼かれた井戸茶碗ですね。利休が抹茶茶碗として愛用していた扱いやすさが魅力で、柳宗悦の本『茶と美』は実に興味深いです」などさらっと話がでてくると素晴らしい。

日本の着物を着こなすことなども奥が深いですが、干場さんや干場さんの年代の男性には、「美しさ」を極めてほしい。私もそれを目指している一人として、干場さん世代を応援しています。

男たちよ、究極のシックである「渋い」を極めろ

『織田廣喜作品集』(1990年・講談社刊)とシャルベのポケットチーフ

 

講談社学術文庫から出ている柳宗悦の『茶と美』は、茶の心、美の本質について書かれた本ですが、日本美の共通の基準として「渋み」を提唱しています。カッコいい男のことをよく“シブい”と言いますが、この「渋み」は外国語には該当する言葉がありません。エレガンスやシックとも違って、表層ではなく、内面を磨いた結果としてにじみ出てくるもので、いわば“人間としての出汁(ダシ)”。「良い味が出ているのが渋い」なんです。

「美しさ」を極めるためには、興味の対象を広げて、欲張りになることが必要。私も若い頃は、たとえば陶芸などもパーツ的な知識しかありませんでしたが、一定の年齢になってから点が線になっていき、より「美しさ」への興味が湧いてきました。

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