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【連載】先人に聞け! 第2回 メンズファッションディレクター赤峰幸生氏

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私は絵画では、講談社から画集が出ている織田廣喜氏の絵をよく見ます。黄色と茶色の合わせや、茶とベージュの絶妙なコンビネーションなど大いにインスパイアされていて、今日のシャルベのチーフも織田作品の色彩の影響です。

イタリア語で「FORZA(フォルツァ)」とは頑張れという意味ですが、「FORTEZZA(フォルテッツァ)」は要塞を指します。干場さんとその世代には、「日本文化の基本を見直し、その文化を守っていこう」という気概を持ってほしいと思います。

四季がある日本だから、衣食住にもっと敏感になろう

「INCONTRO」アトリエのディスプレイ

 

日本の40男たちには、たとえば正月は着物を着て過ごすなど、“ジャパニーズとしての格好良さ”、DISCOVER JAPANを超えて、RE-DISCOVER JAPAN的な視点を持ってほしい。仕事が忙しい世代は忘れがちですが、日本には四季があります。太陽が移動する天球上の道を黄道といい、黄道を24等分した季節の指標が「二十四節気(にじゅうしせっき)」です。昔から天候に左右される農業の目安とされ、たとえば3月上旬の「啓蟄」は冬から春へ生き物たちが活動し始める頃合いを示します。私たち日本人はそうやって生きてきて、夏には茄子の絵が描かれた皿で冷たいものを食べ、冬には鍋を囲みます。

食べものの“旬”にはみな興味があって敏感なのに、仕事で着ていくスーツは、寒くなっても平気で夏の薄織りのものを着ている。「衣食住」が暮らしの基本ですから、スーツも寒くなったら、温かい厚地のものを着るべきです。そうやって仕事の場でも季節感を愉しむことができれば、上司や仕事先など内外で評価され、きちんと服を着ることが、給与や階級アップに繋がり、費用対効果が生まれるのです。

私は着こなしも自然から学ぶことが多いです。今の働き盛り世代は、通勤路にある花や木の名前も知らないでしょうから、たまには立ち止まって木々を眺める、空を見ることから始めてください。足を止めて見る余裕が「美しい」と感じることに繋がります。

そういうことをもっと愉しめれば、生活が楽しくなるはずだし、気持ちの余裕が仕事に出てくる。効率だけだと何も見えなくなりますから、たまには寄り道も必要です。

便利と不便利。面倒なことのなかに、実は真理がひそんでいる

自分も含めて今の時代は多くの人がスマホに拘束されています。情報を得るためと言いながら、電車の中でヘッドフォンしながらスマホを見ている光景を見ると、スマホをいじり、コンビニに寄って、家でも会話することのない没コミュニーションは、人間が持つ五感をどんどん怠惰にさせていくはず。便利と対極にあるものが「不便利(という言葉はありませんが)」ならば、手書きで文字を書いて失敗したり、好きな人に言葉で思いを伝えたり、そういう「不便利」なことこそ、人を成長させるのです。

だから、オンのときのスマホは文明の利器としてしょうがないですが、オフのときは「ガラケーのライフスタイルで過ごしなさい」と言いたい。自分の五感、第六感も含めて、本来人が持っている感覚を磨いてほしい。便利だからとスマホを使えば使うほど、便利の恩恵にあぐらをかいて、人は美しくなくなります。

【連載】先人に聞け! 第3回は、「男としてのカッコいいの原点」をお話しします。

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

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