SONY元異端社員の艶笑ノート

大事なことはみんな女が教えてくれた

入社試験で『趣味は競馬』と口が滑って…

2016.12.1 2016.12.1
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2016.12.1
昔のソニーの社長は一般人からの手紙に返事をくれた

当時はインターネットも何もない時代なので、都会の学生は都会の会社を希望し、地方の学生は地方に残って地域で活躍するというように、それなりに現実に即した考え方が主流だった。

ぼくは長野県の阿智村という電車も通っていないド田舎出身だが、帰ってもあまり仕事がないので、とりあえず東京で働こうと思った。

ふと、ソニーを受けようと思った。

ウォークマンは肌身離さず持っていたし、VHSに負けようが何しようが画像が綺麗だからという理由でビデオはβ(ベータ)を使っていた。

それに、ソニーにはちょっとした思い出があった。

ぼくが中学生の時、ソニーの社長宛に手紙を書いたらちゃんと返事をくれたのだ。中身はヒミツだが、言いたいことがあって手紙を書いたが、宛先がわからないので地元のソニーショップで聞いたら教えてくれ、出したらちゃんと返事をくれた。

インターネットがなかったので今ほどひどくはないものの、日本もそれなりに世知辛い世の中になってきた当時、一人の中学生にさえそんな対応をしてくれたソニーが何だか人情味ある会社に思われたのだ。

エリート学生たちとの集団面接で冷たい空気が流れる

ソニーの大代表に電話をして「入社試験を受けたい」というと、人事につないでくれたのはいいが、「明日が最後の試験だから、履歴書持ってきてください」と言われた。

そんなことも調べてないほど、ぼくは就職の準備を怠っていた。

©gettyimages

翌日、品川から丘を越えてソニー本社に行くと、4~5名の学生と一緒の集団面接だった。

面接官は人事部の男性だった。非常にさわやかで柔和な目をしていた。
ガチガチに緊張する中、まずは自己紹介が始まった。大学でどんなことをやってきたかを中心に、みんな順番に話していった。

他には男子3人女子2人だった気がするが、みな優秀な感じでぼくは気後れした。東大をはじめとした超難関大学の上、たいていスポーツサークルに所属し、インカレに出場したという人もいれば部長だったという人もいた。

趣味については音楽や海外旅行という人もいたし、中にはヨットという人もいた。きっと金持ちなんだろうなと思った。ぼくは海外旅行など行ったこともなかったし、だいいち飛行機にさえ乗ったこともなかった。趣味と聞かれて競馬しかないぼくは肩身が狭かったが、仕方ないので正直に「趣味は競馬です」と答えると、「あーあ、面接でこんなこと言っちゃって……」という空気が他の人たちの間に漂ったのがわかった。

「見ると濡れるからです」

卒論の話になると、他の人たちにますます圧倒された。

「都市計画におけるナントカ」とか「認知行動におけるカントカ」など、難しい経済理論や心理学を駆使したまさに学者のような話で、説明を聞けば聞くほどわからなくなるような難しいものだった。

こんな人たちが相手では敵わないと思ったが、ぼくの順番になり、ウソをいうわけにはいかないので、卒論は「表現の自由と猥褻罪について」といった。

「具体的にはどういう内容かね」

©gettyimages

「春画についてです。希望者が春画を見ることさえ禁止するのは猥褻罪の濫用だと思うんです。単なるポルノといっしょくたに論じるのは間違っています」

「ほう……」

面接官はアゴを突き出し、ぼくを見下ろすような目つきで、「一体どう間違っているのかね?」

©gettyimages

春画は猥褻物ではなく芸術作品として見るべきですし、あの描写や印刷の技術は当時を研究する上で非常に貴重なものです。エジプトの昔の遺跡にも女性の裸の絵が描いてありますよね? あれを猥褻だからといって隠したらおかしいと思いませんか? それと全く同じなんです」

「たしかに一理ある」

それまで前だけを向いていた他の学生が首をねじってこちらを見るのがわかった。

「それに春画には金持ちが好んで買った理由があるんです」
「何だそれは?」

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