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立小便レベル?の落書きをアートと称する「エビチリの落書き」から読み解く、表現の自由と情報リテラシー

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

先週のネットニュース、なぜか「エビチリ」というワードが話題になっていたんですね。商店のシャッターにスプレーで落書きしている連中が、最近好んで書くワードが「エビチリ」だそうな、そんな記事。な、なるほど。

記事では落書き犯にインタビューもしており、犯人いわく、

「書きたい場所に書いているだけ。アートなんで」

おお、良いですねバカっぽくて。やっていることは建造物損壊。どんな主義・主張があろうが、社会のルールすら守れない人間の意見なんて、誰からも見向きされませんが。

しかも書きたい場所に書くのがアートなら、キミの眉間あたりに「ウンチ」って書いてもOKってことですよね? や、アートなんで。

とは言えアートなんて言っているうちはまだマシです。世の中にはもっと拗らせている人がいて……先日、文科省前に設置された掲示板に、スプレーで「FREE GAZA」と落書きした人物が逮捕されたんですが、犯行に至った理由はガザ侵攻に対する日本政府への抗議だそうです。え?

あの、あの、もしかしてそれ、イスラエルに抗議すべき話では? なんで日本の官公庁に落書きしちゃうの? 日本政府がガザ侵攻に協力していると思い込んでいる様子なんですが、むしろ逆で、実際かなり早い段階で上川外相が現地に乗り込み、ガザに対する多額の人道追加支援や物流確保への協力、双方に休戦の働きかけまでおこなっていますよね。もしかしてニュースとか見てないのかな? 見てないのかな??

ロクに確認もせず、単に「政府と戦っているオレ」ごっこをしたいのなら、家の中でやれば良いだけの話。ちなみに彼に賛同(!)しているSNSアカウントを眺めていたら、日本政府のウクライナ支援については「日本と関係のない国の戦争に、なぜ大金を支援するんだ」と憤っておりました……おぉ。

考えて欲しいんですが、ロシアのウクライナ侵攻が成功してしまったら「武力による現状変更」という前世紀のクソみたいな外交手段が、21世紀にもなって効力を持ってしまうことになりますよね。

核兵器を持っている大国が暴走すると、誰も手を出せなくなる、という軍事専門家の懸念が実際に起きていますよね。

そして我らの隣国は、未だ領土でバチバチ揉めてるロシア&中国という核保有国ですよね。だからウクライナを支援するんです。有事に備え、ちゃんと世界に対して日本の立ち位置を表明し、役割を果たす必要があるから。

関係ない国の戦争、ではないんですよ。こういうのもちょっと調べれば、分かりやすく解説している情報がすぐに見つかります。

宝の持ち腐れでは

世界的に見ても、日本は「言論の自由」がかなり保証されている国でしょう。政府の施設にスプレーで落書きしても、容疑は器物損壊のみ。落書きの「中身」は問われない。北京やモスクワでやったら、命が幾つあっても足りないでしょ?

政府批判だろうが皇室バッシングだろうが、どれほどの罵詈雑言を撒き散らかしても、それがどんなにトンチキな内容でも、拘束されたり、薬漬けにされたり殺されたりしない、それが言論の自由のある国です。

そして、言論の自由があるということは「知りたいことを、自由に知ることができる」ということ。彼らのお手元にあるスマホは、そのために使う道具では。

せっかく「知ることが出来る国」に生まれたのに、その環境を活かさないのは勿体ないと思いますね。

 

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。



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