ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE ネット・SNS危機管理マニュアル

「リニア延期が功績だって?」素晴らしき反面教師、川勝知事サンの「炎上時にNGなやつ、全部やってみた!」を検証する

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録
講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

静岡の川勝知事、もう何回目ですかという失言騒動から突然の辞職宣言と、ちょっとよく分からない動きが続きましたが、今回一番ウケたのが「どうせ辞めないんでしょ」とイマイチ信用しない人が多かったこと。現職知事が自ら「辞める」と明言しても信じてもらえないという……。

思い返せば本連載一発目のネタも、川勝氏の「女性軽視騒動」でした。そして今回は、まるで過去の騒動を総括するような「炎上時にやってはいけないこと」のフルコースだったんですね。

差別発言(ダメ)
 ↓
切取りだと反論(反論内容がダメ)
 ↓
非難され謝罪(謝罪内容がダメ)
 ↓
発言を撤回(遅すぎてダメ)

そもそもの発端は「野菜を売ったり、牛を世話する人と違い、県庁の新人は頭脳・知性が高い」という趣旨の、かなり頭のよろしくない差別発言であり、それを指摘されると「メディアによる切取りだ」と反論。ありますよね、メディアの切取り。

でも今回に限っては、メディアに切取るスキすら与えない、見事なまでに美しく完成された差別発言だったので、メディア側も完全否定、火に油を注ぐ結果となりました。

ちなみに勢い余った在京民放局のあるキャスターが「そもそも政治家はどこ切取られても問題にならないよう話すべき」みたいな発言をサラっとしていましたが、それって泥棒が「家の防犯はしっかりしろよ、だからダメなんだ」と説教するようなもの。いや盗むなよ、切取るなよって話ですからね。あのキャスターは猛省して欲しい。

……話を戻します。川勝氏の「切取りだ」という反論には当然ながら批判が殺到。結局は謝罪に追い込まれたんですが、これがもう「わざとかな」っていうくらい、見事に「言ってはいけないワード」のオンパレードだったんですね。

「傷つけたとすれば、誠に申し訳ない」

「言葉のあや、不十分な表現だった」

「私の心も傷ついている」

ああ、全部ダメなやつです。まず「傷つけたとすれば」は「傷つけていなければ謝罪は不要」と受け取られるリスクがあり、謝りたくないんだなあこの人、と思われる怖いワードなのでNG。

また「不十分な表現」も「言葉足らずだった」に並ぶ、謝罪で使っちゃいけない危険ワードです。言い換えれば「本件は表現や言い回しの問題であり、本質的には問題ない」と言っているようなもの。これで失敗しているケースは数知れず。やはり避けるべきワードでしょう。

「私の心も傷ついている」に至っては意図すら謎なんですが、とりあえず今、あなたのハートはどうでもいいです。お互い様だ、みたいなことを言いたいのかもしれませんが、だとしても「いらん一言」。

この時点でも「発言は撤回しない」と頑張っていましたが、県庁への数千件の苦情、県議会からの申入れもあり、結局は発言そのものを撤回すると表明。ちなみにこの時も「不愉快な思いをされた方々にお詫び」だそうです、なるほどね。

これが正しい「謝罪のやり方」

謝罪は基本的に「お詫び」「その理由」「批判への感謝」の3要素がワンセットになります。いずれも必須要素で、逆にどれか1つでも欠ければ着地が難しくなります。

まず「お詫び」は速やかに(川勝氏は今回も遅かった)。そして世間が知りたいのは、なぜ謝罪したのか。何が問題だったかちゃんと理解しているの? これを知りたい。

だから「謝罪に至った経緯」を伝え、認識がズレていないことが世間に理解されると早期に沈静化します(逆にここで失敗すると再炎上です、今回の川勝氏みたいに)。

また感謝の「ありがとう」も重要。世間・世論って、失敗して「すみません」と頭を下げている人はボコボコ殴るんですが、「ありがとう」と感謝している人はちょっと殴りにくいんですね(そうじゃない人もいますが)。だから「指摘を頂いて気付けた、ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることは、マナーとしてはもちろん、沈静化という意味でも重要なのです。ちなみに今回の川勝氏は(略)。

企業でも一般人でも著名人でも、いわゆる不祥事やネット炎上においては、この「お詫び」「その理由」「批判への感謝」の3要素が基本になります。ぜひ押さえて頂きたいんですが、まあできればずっと活用せずに済ませたい知識ですね。

 

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5