ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE ネット・SNS危機管理マニュアル

「バカじゃなかろうか」不適切にもほどがある? NHKのブラタモリは偉そうなマンプレ番組なのか

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録
講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

先週、この春でレギュラー放送が終了するブラタモリについて、某県立大の教授先生が「よい企画だったが『マンスプレイニング』だった。次は男女を入れ替えた方が良い」とのコメントをSNSに投下、ネットで大きな笑いを誘っておりました。

マンスプレイニングとは、男性が上から目線で(主に女性に対して)説明する様子のこと。相手を見下しながら物事を解説したり、知識を述べたりするサマ。ブラタモリは、タモさんが女子アナに向かって偉そうに知識をひけらかす番組だからイカンよ、だそうです。ん、偉そう?

かなりナナメウエを行くご高説ですが、そもそも年長者のベテランに対し、若手アナが敬意を払って接するのって人として当たり前だし、性別以前の問題だと思うんですが、それがダメなんでしょうか?

しかもブラタモリって、その道の「専門家が」タモさんにレクチャーしてあげる番組ですよね。毎回必ず、専門家が「なぜだと思いますか?」とタモさんに質問を投げかけ、それにタモさんが答えられるか否か、視聴者はその攻防まで楽しんでいます。

現地に着くまでロケ場所は秘密。移動中のバスですら車窓を目隠しされ、マンプレどころか、むしろタモさんが1人で奮闘している状況では……ああ、何か説明するのがバカバカしくなってきましたね。何だろうこの徒労感。もうタモさん風に「バカじゃなかろうか」と言ってしまって良いでしょうか。

教授のご要望どおりに、メインキャストを女性にして、進行役のアナウンサーを男性にしたところで、また「女性に山道を歩かせるなんて」「なぜ女性アナを活用しないんだ」みたいな批判が起きるだけでしょう。

正直、多くの人がポカンとするような、世間に全く刺さらない「ブラタモリ批判」でしたが、ではナゼこんな話題を記事で取り上げるのか。こんなの相手にしなくて良いだろ、と思われるかもしれませんが、違うんです。

世の中の多くを占める「まともな人」って、今回みたいなノイジーマイノリティに対して「アホだな」と感じつつも、実際は何もしません。わざわざネットで反論や指摘を投稿する人は稀です。だってバカバカしいから。

でもネットって投稿した人だけが存在する世界なんですよね。黙っている人、投稿しない人はゼロカウント、存在していない世界、それがネットです。

その結果、ネットは雑で的外れなノイジーマイノリティで溢れかえり、まるであたかもそれが主流意見であるかのように錯覚してしまう。最終的に世の中が妙な方向、ズレた方向に向かって走り出す可能性すらあるでしょう。

だから、くだらない、バカバカしい、指摘するでもない、みんな判っているような事でも「違いますよ」「アホですね」とネットでいちいち明確に指摘することは、それなりに必要な行為なのです。

この「いちいち」をやってこなかった結果、とんでもなく面倒な状況になっているのが、まさに今のテレビ業界でしょう。

「不適切にもほどがある!」

最近、ドラマ「不適切にもほどがある!」が話題ですが、これって制作現場の「上層部に対する抗議」が形になったドラマなのでは、と思っています。

これまでテレビ業界は、ネットからの理不尽なクレーム、ごく一部の「声が大きいだけの人達」に対して、あまり強く反論してきませんでした。そのことが現在の過度な自主規制に陥った理由の一つであることは否めません。

今のテレビマンたちが感じている、度を超えたコンプラ至上主義は、決して「普通の視聴者」が要求したものではなく、ノイジーマイノリティに対する上層部の守りの姿勢によって作られてしまった部分も少なくないのです。

正直、昔の「何でもあり」のメチャクチャなテレビが良かったとは全く思いません。昭和や平成初期のテレビって本当にメチャクチャでしたからね。ですが、今のテレビがメディアとして良い方向に進んでいるかと言えば、そうとは思えないのです。

過度な自主規制は「黙る」「黙らせる」を助長しかねない危険な風潮です。本来ならどこかのタイミングで、スポンサーも巻き込み、然るべき適切な反論をしたり、自分たちの考え、姿勢を主張するべきだったし、実際そうするべき場面もありました。

もちろん今からだって遅くありません。「普通の視聴者」も巻き込みつつ議論すべきでは。テレビは言論の自由の一翼も担っていますから。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5