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何が問題なの?なんでもクレーム!「くねくね」が許せないという理不尽。三重交通さんの災難とは

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

えっ!?「くねくね」しちゃダメなの??

先週のSNS界隈は「くねくね」というワードで溢れ返っておりました。コトの発端は、三重交通がグループの80周年事業で作った「運転士の男女」の公式キャラクター。「三重交通 キャラクター」で画像を検索すると、制服男女のアニメ風キャラが見つかります。

このキャラクター、何か問題ありますかね? クセも無く、多くの人に好かれるよう、またこの手のイラストに必ずケチをつけてくる面倒な方面にも配慮した、非常にバランスの取れたキャラだと思うんです、が……

やはりこれにも「気に食わん」という方々が現れたんです。出ました、いったい何が問題なんでしょうか。

「女の子がくねくねしてるからダメ」

えっ? えっ?? この女性キャラのポーズって、アニメ等で躍動感を表現する際によく使われる定番なんですが、そこなの? 彼らによれば「くねくねは、ボディーラインを強調したやらしいポーズ」だそうです、ええええ。

他にも「女性だけ笑顔でバカっぽい」「男に媚びてる」など、着眼点が凄すぎて良くもまあそんなに思い付くもんだと感心しかけましたが、最早ケチを付けることが目的になんでしょうか。

「本物の女性もくねくねしていると勘違いする可能性がある」と注意喚起してくれた人もいました。安心して下さい、そんな向こう側まで突き抜けた発想するのはアナタだけです。

しまいにはポーズや表情、身長といった「問題点」を改善した修正バージョン(「三重交通 くねくね 修正案」で画像検索すると見つかるかもしれませんが、見なくても良いです)を作成しちゃった人まで出現。

凄いですね、この才能の無駄遣い感。オリジナルのイラスト権利者に対する直球ド真ん中の権利侵害ですが、そういうの気にしないんでしょうか。

自分の考えが普通であり、主流なのだという思い込み。また主流派は、相手に対して変更を要求して良いのだという二重の勘違い。世界は自分の好みに従うべきだという根拠のない驕りが痛々しいのです。

もちろん多くの人たちから「ナニ言ってるの?」という集中砲火を浴び、焼け野原になっておりました。

今後も無視で

何が良かったって、三重交通がこれらのクレームを一切無視したこと、キャンペーンに変更はないと相手にしなかったことです。

通常この手のキャンペーンって、地元の利用客に限らず、グッズ関連なども含めた少し幅広い市場がターゲットになるのですが、今回のクレーマー達はその広い網にも引っかからない、つまり三重交通の顧客ではないという判断をされたんでしょう。

数年前、JR大阪駅の「萌え広告」が謎のバッシングを受けた際も、広告担当者はクレーマーを無視する形で対応しています。いわゆるノイジーマイノリティの皆さんは、とにかく相手にしてもらえないと困っちゃう人たちですから、今後もぜひ相手にしないで方向でお願いしたいです。

この手の話題になると、

「公共の場では、見たくない人の自由を優先するべき」

という説を唱える方が必ず現れるんですが、そんな珍説、大昔に最高裁で否定されているし、それに「アンタこそ見たくない、消えろ」と言いわれたら即終了してしまうロジックです。言論の自由を制限するトンデモ論でしかありません。

もっと言えば、本来のフェミニズムにおいて、性や装いに対する女性の自己決定権は重要な要素です。ところが昨今「ポーズがどうあるべきだ」とか「この表情はダメだ」とか、とにかく本質と真逆に突っ走っている方が多いんですよね。

まるでバイクNG、ギターは不良の「昭和の母親団体」みたいで……せめてもうちょっとアップデートした方が良いのでは。時代は令和ですから。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。



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