■競争力あるデザインとスペック、価格が与えられた新型「スイフト」
2023年12月にデビューした新型スイフト。950kgという軽量高剛性ボディと、新開発したZ12E型1.2L 直3ガソリンエンジン(マイルドハイブリッドが中心)が特徴のモデルです。デザイン面では、スイフトらしいシルエットが継承されつつ、クラムシェル型のボンネットや立体感のあるグリル周りの造形、ボリューム感のあるフェンダーなど、斬新さと機能性を感じさせる仕上がりとなっています。
人気のコンパクトハッチバックカテゴリーにおいて、競争力のあるデザイン、スペック、装備、価格が与えられた新型スイフト。この新型スイフトをベースとするのですから、次期スイフトスポーツには、期待せずにはいられないというもの。いまわかっている情報から、新型スイフトスポーツの姿を予想してみましょう。
■欧州仕様に採用されている1.4L 直4ターボ+48VのISGが搭載されると予想!
やはり一番の関心事は、パワートレインです。前述したように、標準モデルには、1.2L直3ガソリンエンジンが搭載されています。が、新型スイフトスポーツでは、欧州仕様のスイフトスポーツにすでに設定されているK14D型1.4L 直4ガソリンターボ+48VのISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)を組み合わせたマイルドハイブリッド仕様になるのでは、と思われます。
最高出力はエンジン単体で129ps、最大トルクは23.9kgmというスペックで、日本の現行型スイフトスポーツに搭載されるK14C型 1.4L 直4ガソリンターボの140ps/23.4kgmと比較すると、エンジン単体の出力では劣るものの、ISGぶんで13.6psが加算されます。欧州仕様のパワートレインがそのままスライドされて搭載されるか、あるいは日本用にブラッシュアップして搭載されるかはわからないですが、現行型よりも伸びのあるパワー、トルクフルな加速感を味わえると思われます。
トランスミッションは6速MTのみの設定で、このパワートレインのメリットを活かす加速性能、そして環境性能に貢献する仕様となるでしょう。デザインは標準モデルをベースに、よりスポーティなフォルムとディテールを盛り込み、魅力的に仕上げてくれるものと思われます。
■ハイブリッド化による重量増は、技術でカバーしてくるかも!?
また、スイフトスポーツの魅力の要である車両重量も気になるところ。欧州仕様ではハブリッド化によって乾燥重量が1,025kgとなっており、これは現行型の970kgと比較すると55kgの重量増となります。スイフトスポーツの軽快なハンドリングを生み出すのは「軽さ」にあると考えますので、このあたりをどのように詰めてくるのかは気になるところ。
ただスズキは、2024年7月に発表した「技術戦略説明会」の中において、これからも「軽量化」に注力していくと発表しており、新型スイフトスポーツがこの戦略に基づいて開発され、その象徴としてリリースされるのであれば、かなり現行型に近い車両重量で登場する可能性も大いにあると思われます。
■まとめ
安全装備や環境性能を確保するため、重量増が避けられない昨今の新型車ですが、軽いクルマを造ることはハンドリング性能や燃費性能に大きく貢献するだけでなく、カーボンニュートラルの実現を目指す取り組みのためにも重要な要素。車重が軽ければ材料、製造時のエネルギー、走行に必要なエネルギーが少なくて済むため、あらゆる面でメリットがあります。
徹底した軽量化と高剛性化という突き詰めたボディ開発から生まれる軽快なハンドリング、バランスのいい走行性能が魅力のスイフトスポーツ。ぜひ新型でも、従来型通りの、軽快でお買い得なモデルとして登場してくれることを期待したいです。
Text:立花義人、エムスリープロダクション
Photo:SUZUKI