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「この親不孝もの、家族葬だなんてよくも言えたな!」いま、日本中で起きている「葬式格差の大問題」

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「実家がある辺りは身内はもちろん、ご近所の人も必ず出席するような風土が根付いた土地です。変わったことをすると目立つし、陰口を叩かれることも」

そのような環境では、たとえ故人が家族葬を望んでも、喪主が一般葬とで迷うのも無理はない。

「迷いましたが、『たくさんの人を呼ばなくていい。金はかけなくていい』との母の言葉を思い出し、結局、以前メモしてあった2件の家族葬専門業者に電話をかけました。料金やサービスにあまり違いは感じなかったので、感じが良かった方に決めました。もう、博打みたいなものですよ」

お金をかけるな、と母から言われるまでもなく、実際問題お葬式に何百万円もかけることができないという懐事情もあった。

「結果から言うと、私が依頼した家族葬会社の基本プランのサービス内容があまりにショボいので、あれこれ足しているうちに、気が付くと倍くらいかかっていました。だから、費用面でいえば、実際には一般葬とさほど変わらなかったかもしれません」

しかし、葬儀会社を選ぶ時に、割安感を感じる家族葬に惹かれたのは事実だった。また、身内や地元とのつき合いが好きではなかった母のためになる、という「大義名分」もあった、とみどりさん。

「くり返しになりますが、結局はショボい基本プランに『もっとお花を』『食事のグレードアップを』なんてやっていたら100万近くになってしまいました。そのうえ、さらに納得行かなかったのが親戚からの侮辱とも言える言葉の数々です」

葬式の前日のお通夜には、親戚縁者が20人ほど集まった。通常のホールよりもかなり簡素な葬儀場に姿を見せたいとこは、みどりさんの顔を見るなりこう言ったそうだ。

「都会へ出て、田舎の義理人情なんてどうでもよくなったのね、と。凄い目で見られてしまいました。田舎の義理人情なんて聞こえはいいですが、所詮見栄ですよね……でも、とてもそんなことを口に出すことはできません」

しかも、いとこはさらにみどりさんを傷つけるような言葉を重ねてきたという。

「伯母さんは宝塚が大好きだったのよ。あんなきらびやかなものが好きな人のお葬式がこんなちんまりしてるなんて、かわいそうすぎるわ。親不孝だと思わないの?と」

その言葉を皮切りに、葬儀場の設えを眺め回しては眉間にしわを寄せた親族の面々。未だ形にこだわり、人の気持ちを思いやれない無神経な親戚の言葉とは?

後編に続く。

取材/文:中小林亜紀
PHOTO:Getty Images

▶︎後編に続く


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