「夫の実家は、我が家と車で20分の距離にありました。実家には小姑が2人も住んでいました。私はてっきりその2人と姑がお舅の面倒を見ると思っていたんですが、30年以上前の日本はまだまだ家父長制バリバリの時代。長男の嫁なんだから、という声がまかり通る時代だったんです」。
吉江さんは、通いながら介護を続けたそうだ。
「本質的には断る理由があります。でも断ることができない環境だったんです。息子を送り出してから、息子が帰るまでの間を実家で過ごしたんですが地獄のような日々でした…」。
小姑の1人は引きこもり。もう1人は働いていることを理由に介護を拒否。姑は腰が痛いと介護を放棄。少しぼけ始めたお舅の世話を1人で行うことに。
「お舅はぼけているのか、そうでないのかわかりませんが、セクハラまがいのことを私に何度も何度も繰り返しました。それを見ては姑は私を罵倒する。昼ドラばりの展開に心が折れそうでしたね…」。
お舅がなくなるまでその茶番は続いたそうだ。この期間に吉江さんは、夫との離婚を心に固く誓った。しかしことはうまく進まなかった。【後編】では吉江さんが夫と別れられなかった理由。そして、今、まさに死後離婚を目論んでいることについてさらに詳しく話を聞いていきたい。
取材・文/橋本 千紗
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