毎日とにかく暑い。そんななか、光熱費を節約する目的でショッピングモールや図書館などを活用する、通称・熱中症避難民がいま、問題になっている。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「熱中症警戒アラートをさらに上回る熱中症特別警戒アラートの運用が始まったことで、各地ではクーリングシェルターと呼ばれる無料で解放される暑さをしのぐ施設の指定が始まりました。公的な機関以外に、民営の施設も登録が進んでいます」。
あまりの暑さに出かけることもできず、大型ショッピングモールで1日を過ごす、そんな人もいるのだという。
「ショッピングモールは交通の便が良かったり、駐車場が併設されていたりと何かと都合が良いんですよね。広さもありますし、1日中いても暇がつぶせると感じる人も多い。理解はできますが、あまりにも非常識な使い方をしている人もいるようですね」。
なかでもトラブルの発生源になっているのがフードコート。基本的には販売しているものを食べるための場所だが、そうでない使い方をしている人もいるようで…。今回はそんなフードコートに勤めるある女性からの証言を聞いた。
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岩田美穂さん(仮名・52歳)は、都内近郊の大型ショッピングモールでパートをしている。
「フードコートのたこ焼き屋さんでもう5年ほどパートをしています。ここ数年、利用客が増えていることを肌で感じています。平日の朝イチから人がわんさか訪れる。これも気候変動の余波なんですかね」。
冷房が効いた店内でゆっくり過ごしたい気持ちは、美穂さん自身も感じるそう。
「孫がいるんですけど、娘もよくショッピングモールを利用しています。子供の遊ぶ施設なんかも併設しているので便利ですよね。この暑さだと公園でろくに遊ぶこともできませんもんね。最近は夏休みになったからか、小学生の子連れもすごく増えたように思います」。
確かに毎日テーマパークに連れていくことはできない。モールで時間を潰すという人が多いのも頷ける。
「まあ、何も買わなければタダなわけですしね。でも無料っていうのも考えものだなと思ってしまいますね。年齢問わず、非常識な使い方をしている人が多くて…。なかにはわざわざ家のゴミを持ち込んで捨てていく人までいるので、ちょっと怖くなります。ついこの間見かけたのも、とんでもない家族でした…」。
美穂さんは基本、早番なのでオープンから出勤している。そこに現れたのは、3世帯家族。
「おそらく私とさほど変わらない夫婦と娘、3人の孫という組み合わせでした。もしかしたら、外国籍なのかな?という雰囲気がありました。オープン直後のまだ閑散としたフードコートにやってきて、ボックス席に座りました。このときは微笑ましい気持ちで、眺め、その後は気に留めることのもなく、仕事をしていたんですが…」。
1時間ほど、経って眺めてもまだ家族はそこに座っていたと話す。
「このときあれ?と思いました。ちょっと滞在時間が長いなーって。ただ、勉強をしたり、新聞や本を読んで半日以上、席に居座る人も結構な数いるので気に留めていなかったんですけど…」。
昼時を迎えて、フードコート内は人で溢れ出し、座る場所を探す人も出始めた。
「ぱっとその家族に目をやるとあるものを広げていたんです…」。
美穂さんは絶句したという。