「そのテレビは、立ちションする男性が減っていて、座ってするのが新常識になっているという内容でした」。
次の瞬間だった。妻が口を開いた。
ーうちにもいるじゃない。
その言葉に子供たちは冷ややかな目を向けたそうだ。
「冷たい空気が流れました。テレビでは立ってトイレをするとどれくらい周りに飛び散るのかみたいな実験が行われていました。それを見て、妻と子どもはやばいねーなんて言いながら、楽しそうに会話を繰り広げていました。子供たちはすっかり座ってするのが当たり前になっているとその時気がついたんです」。
浩也さんは、なんとか自分の正当性を保とうとした。
「立つ方が人間の構造的にいいなんて話も聞いたことがありましたし、何より狙えば汚れることはないじゃんと言ってみたんです。ところがそれは火に油を注ぐ行為でした…」。
妻も息子も、さらに冷ややかな目を浩也さんに向けたというのだ。
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