日頃の不満が心の奥底から湧き上がったように、にわかに語気を強めた梨央さん。
「親たちは理解のあるフリをしていただけで、結局お腹の中では『娘が結婚したからじきに孫が抱ける』と思っていたことが、結婚してみてよく判りました。
義両親もそうです。『2人の人生なんだから2人で決めなさい』とかっこつけてたのは最初だけで、流産がわかると『せっかく妊娠できる体なのに、なんで治療しないの?』の一点張り。結局、昔ながらの価値観は保たれたままです」
義両親は先だって、不妊治療で口コミの良い地域の病院をリストアップして持ってきたという。
「そんなに仕事と両立させたいなら、ここなら夜10時まで診察してるから最高よ、と義母は言いました。口コミめちゃくちゃいいのよって。せっかく保険が適用されるようになったのに、治療しない理由がないじゃない、と……。は?ですよ」
考えていませんので、と断ると、「せっかく産めるのにどうして?こればっかりはタイムリミットがあるのよ。せめて卵子の凍結は?」と畳みかけるように迫ってきた義母。
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