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女たちの事件簿

令和の「産めよ増やせよ」にうんざり!「保険適用なのにやらない理由がないでしょ?」少子化対策に乗じた「孫産めモンスター親たち」のヤバすぎる暴走

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

こども家庭庁が「若者のライフデザインや出会いの支援」と銘打ち、結婚相談所開設などの結婚支援策を検討しているという。これが、喫緊の課題となっている少子化対策である。

この発想、SNSでは「的外れな支援」「そのうち合同結婚式とかさせそう……」と批判的意見が多い。実績ある民間の婚活サービスがいくらでもあるというのに、果たして公的な婚活支援はいかほどの成果を上げられるのか。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は政府のこうした方針について次のように語る。

「むしろ逆ではないでしょうか。働く夫婦、未婚や事実婚カップルなど、多様な生き方をする人たちが子供を産めるだけの生活水準の向上・雇用創出や就業支援が先では? キャリアを守りながら女性が安心して産める環境づくり、ともに育てる男性の働き方の見直し、そういったことが先決ではないかという意見も多いですよね」

・・・・・・・・・・・・・・・

今回、妻と夫両家の親から、不妊治療を受けるようしつこく説得を受けて悩んでいるという女性から話を聞いた。

「結婚イコール妊娠ではないので、結婚する人が増えれば少子化に歯止めがかかる、めでたしめでたしという為政者たちの考えは的外れかなと思います。

親たちも、前は『結婚とか子供とかより、生きたいように生きるべき』なんて言ってましたが、今はなぜか妊娠を勧めていい、みたいな雰囲気になってます。『国の危機』をダシにするところが卑怯だなって。本性を現したって感じでしょうか。」

こう話すのは、IT関連企業に勤務する36歳の田ノ上梨央さん(仮名)。

「今後、もし妊娠したら子供を産むけれど、しなければ子供を持たない人生を選ぼうと夫と話し合って決めました。何度も話し合って決めた2人の結論です」

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梨央さんは32歳のとき、同じ業界で働く夫と2年の同棲を経て結婚した。

「同棲していた頃のまま家事も無理なく協力してやっていますし、結婚生活というより合宿みたいな感じで、楽しく暮らしてきました」

実は結婚を決めたのは妊娠がきっかけだった。しかし、妊娠9週で流産となってしまった。

「つわりが始まってしんどかったのに急に楽になり、つわりが終わったのかと思ったら流産でした。安定期まで会社には黙っていようと思っていて、周りは誰も知らなかったので、落ち込む姿を見せることができなかったんです。とてもつらくて、今思い出しても涙が出ます。気を紛らわせてくれたのは仕事だけ。私は根っからの仕事人間です」

流産処置後、月経や性生活が再開しても、梨央さんは妊娠する気配がなかった。大学の時の友人で、不妊治療の末に双子を出産した人がいるという梨央さん。

「不妊治療、ちょっとつらいけど授かると嬉しいわよとその友人にも勧められましたが、私は自然妊娠を望んだし、一度妊娠したということは、2人とも機能的には子供ができるはずなので、できないことには何らかの理由があると思いました。自然に反することは気が進みません」

不妊治療が選択肢になかった理由は、自然に任せたいという思いだけではない。生理休暇さえ取りづらい雰囲気なのに、妊活のために会社で休みや半休を取ることは考えられなかった、と梨央さんは言う。

「不妊治療休暇なんかうちの会社にはありません。妊活で会社をやめた同僚も過去にはいます。それに、結果を出し続けていなければ、割とすぐに部署やチームを異動になる会社なので、妊活にかまけて今のポジションを失うことも怖かったです。

私の所属チームが開発したサービスは業績が好調で、無理して不妊治療しても、その後妊娠・出産の果てにキャリアを失うことになるのも正直イヤでした」

最初の流産のあと、梨央さんの両親は夫婦をとてもいたわってくれた。夫の両親も2人揃って現役で働いていて仕事への理解もあったし、「若いんだから、これからいくらでもまた妊娠できる」と梨央さんを励ました。

「流産後2年近く経っても再び妊娠することはなく、私たちは話し合いの末、不妊治療はしないで自然に任せると親たちに宣言しました。ただ、もし妊娠したとしても、キャリアや収入を失うのが怖いという不安も、正直に両親や義両親に打ち明けましたね」

親たちは、梨央さんの気持ちに理解を示した。実家と義実家のちょうど中間地点のマンションで暮らす夫婦に対し、親たちは「孫ができたら両家の親が代わる代わるサポートするから安心して仕事を続けなさい」とまで言ってくれた。

「心強い反面、やはり親たちは強烈に孫の誕生を願っているんだな、というのが伝わってきてプレッシャーでしたし、このまま妊娠せず孫の顔を見せられないとなっても、優しい顔を見せ続けてくれるのか、正直不安しかありませんでした」

そして梨央さんのこの不安は的中してしまうことになる。ここ数年、政府や自治体による少子化対策がしばしば報道を賑わせるようになったが、その声が大きくなればなるほど、親たちは時勢に乗らんとばかり、梨央さんに不妊治療を勧めまくるようになったという。

驚くほど必死な親たちの言動と疲弊しきった梨央さんの訴えは後編にて詳報する。
 

取材/文:中小林亜紀

PHOTO:Getty Images

▶︎後編に続く






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