■勝つために生まれた「GT-R」
フェアレディZと同様、日産を代表するスポーツモデルである(スカイライン)GT-Rですが、こちらも初代は1969年生まれとなります。しかしその出自はZと全く異なり、GT-Rは、当時参戦していたツーリングカーレースで勝つために投入された、いわゆるレースベースのモデルです。
GT-Rは、レース用に開発された新型エンジン「S20型」(ちなみにフェアレディZにもこのエンジン搭載グレードが存在する)が昭和48年の排ガス規制に適合できず、このときいったん生産を終了。一度その系譜が途絶えてしまいましたが、1989年にR32型となって復活。当時日産の持つ最新の技術が投入された、まさに最強マシンともいえるモデルで、市販車をベースにしたレースのカテゴリー「グループA」でその圧倒的な強さを発揮し、ピュアスポーツカーとしての世界的なイメージを確立させました。
2007年登場の現行型GT-Rは、サーキットでも本気で攻められる走行性能を有しながらも、市街地での乗り心地や実用的なユーティリティなども追求した本格高級スポーツカーという個性を持ち合わせており、イヤーモデル投入ごとに最新のアップデートが実施されています。
■残念ながらGT-Rは2025年8月で生産終了予定
フェアレディZは、時代に合わせて価格が上がってきてはいますが、コストの制約を厳しくするというスタンスは変えておらず、「(かなり)頑張れば手の届くスポーツモデル」という個性は貫いています。限られた予算の中で高い性能を追求し、かつ所有欲を満たしてくれる魅力的なGTカーなのが、「フェアレディZ」です。
一方のGT-Rは、日産の技術力の高さを伝える「イメージリーダー」としての役割を担っており、日産のスーパースポーツカーという存在です。現行型は2025年8月で生産終了の予定となっていますが、フェアレディZもGT-Rも、まだこの時代に乗れるというのは本当に幸せなこと。この先この2モデルがどうなっていくかはわかりませんが、クルマ好きとしては、一日でも長く現役でいてほしいと思います。
Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo :NISSAN