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「町内会費で飲み会はおかしい」抗議した夫が吊し上げの理不尽。政治家のカネには激オコなのに、足元の不正にはユルすぎる「日本社会の闇」

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

未来永劫続くかと思われた派閥政治を崩壊に至らしめようとしている自民党の政治資金問題。厳しい年貢の取り立てに震える庶民は今もって怒り心頭である。がしかし、政治とカネの問題には並々ならぬ関心を持ちつつ、もっとも身近な政治の腐敗には気づかない、あるいは気づかないふりをしている方々も少なくはないようだ。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は「地域社会の税金」ともいえる町内会費の使い方についてこう指摘する。

「町内会費の使い方や管理の仕方には、その土地に住む人の民度が表れます。あなたの居住地域の町内会費は、一部の人の飲食代、過剰な飲み代に多額の費用を割くような不公平でムダな使い方はされていないでしょうか。どうぞ大いに関心を寄せてみてください」

・・・・・・・・・・・・・・・

今回お話を伺ったのは、農業従事者が3~4割ほどを占める某地域にお住まいの里谷ゆりえさん(仮名)。約40年前に地域の一部が住宅街として開発され、その住宅地に移住した住民とそれ以前から暮らす古い住民が共存しながら今に至るという。

「うちは移住組ですが、居住歴はまだ11年ほど。この町は住民の入れ替わりもあったりで、年齢層は少し若返り傾向にありますが、全体としては古くからお住まいの農業エリアの住民が幅を利かせている感じですね」

ゆりえさんは10年以上前、お子さんの就学を機に夫と2人の子供とともに現在お住まいの小さな町に転居した。夫婦いずれの実家も同市内にあるという立地、田園風景が広がる割に繁華街へのアクセスが良い点に惹かれた。

「戸建てなのでご近所づき合いはある程度覚悟していましたが、町費の額や使い道がおかしなことになっているのは納得できませんね」

町内は100戸を超え、日頃は町をいくつかに割ったグループでの活動もある。毎月の掃除活動や無意味に思われる多数の行事、なかば強制で参加させられる神事などツッコミどころは満載だが、ゆりえさん夫婦がかねてから問題視していたのが町内会費の金額の高さだった。

「都会と比べてかなり人口が少ないので、一軒あたりの町費負担が重くなることは仕方がないと思うのですが、入会費10000円、年間町費約14000円はどうなのかなと思う。そもそも町内会なんて任意団体なので入るか入らないかは自由なはずなのに、そんなこと聞かれたこともありません」

町費の徴収は意思確認も断りもなく、当たり前のように毎年行われている。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割
©Getty Images

「この地域にはまだ10年程度しか住んでいない私たちですが、昨年度は夫が町内の会計係を任されたんです。会計係は10年以上住んでいる人の中から選出される慣習があるとかで、早速任命を受けた形でしたね」

班の会計業務を担うなかで、夫は町内会費のあり方に対し関心を深めることとなった。そして徐々に町費値下げを目指すに至ったが、結果としてそれは叶わなかったという。また、町費値下げを提案する前にも、夫は会計を担当した一年間、古参住民と何度もバトルを繰り広げたのだそうだ。

「末席ではありますが、夫は役員会でメンバーの人たちと交流するようになって初めて幹部の食事会や飲み会が異常に多いことや、そのための費用がほとんど町費から出ていることを知ったと言うんです」

ゆりえさん夫婦は、それまでの自分たちの無関心を心から反省した。

「一般会員の時には、総会での会計報告も聞き流しているだけでした。ちゃんと関心を持たなかった自分たちがいけませんが、まさかこれほど一部の人の飲み代に消えているとは想像もしていなかったんです」

幹部役員は高齢層の同じようなメンツが順番に繰り返し就いているため、一部の長老だけが「町の税」で甘い汁を吸い続けているというわけだ。町費の使い道という意味では明らかに不平等なのだが、町内では「役をやってもらうのだから労いはあたりまえ」「役得」などという考え方がまかり通っている。

「もちろん、町内会館修繕費の積立とか、敬老会や行事に使うお金とか、正当に使われているものもあります。でも、飲食代は誰が見ても過剰な額だったそうですし、タクシー代まで計上されていたようなんです。夫も最初のうちは黙っていたけど、徐々に意見を言うようになり、自ずと爺さん連中と対立することに……」

町費の使い方に不満をこぼすも、町内に古くから続く考えや慣習は根深い。ゆりえさんの夫は状況を変えることはできるのか。後編に続く。

取材・文 中小林亜紀

▶︎後編に続く


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