元日に発生し、北陸地方に大きな被害をもたらした能登半島地震。
広範囲に渡って度重なる強い揺れを観測し、未だ予断を許さない状況が続いている。被災された方にお見舞い申し上げるとともに、くれぐれも安全に留意してお過ごしいただきたい。
多くの人々がそう願う反面、地震の影響を受けなかった地域や被災経験がない人のなかには、元日楽しみにしていたテレビ番組やイベントが中止になったことを嘆くつぶやきや、中止されない行事への苦情など、さまざまな反応が見られた。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は災害時の心構えについてこう語る。
「国内外で地震が頻発しているのは誰もが知るところです。自然災害はいつ我が身にふりかかってもおかしくありません。
『明日は我が身』『情けは人のためならず』といった心がけが必要である反面、予定どおり実行された行事があることも事実。自分の立場だけで物事を考えず、ネット上での発言などにも十分注意する必要があるのではないでしょうか」
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今回の地震発生後、ネット上では「不謹慎」「自粛ムード」という言葉が乱れ飛んだ。どのような意図でこの言葉が使われているのか複数のメディアを使って取材していく中で、とある30代の女性から話を聞くことができた。
「今回の地震に対する夫の反応のひどさにドン引きしています。非常時にこそ、その人の本質が見えるのかなって、なかなか考えさせられましたね」
こう語るのは30代の会社員・梨田佐緒里さん(仮名)。昨年秋に結婚したばかりで、今年は夫婦で迎える初めての新年だった。
「地元の友達の紹介で知り合った夫とは、お互いに実家が近いんです。結婚して初めてのお正月は元日の午前中に彼の実家へ、2日の夜に私の実家へ挨拶がてら顔を出すことになっていました。二人で喫茶店でまったりしていたところに、地震が起きたんです」
東海地方在住の佐緒里さんだが、今回の能登半島地震ではかなりの揺れを感じたという。
「まず揺れたときに、夫は私よりも動揺して立ち上がったり、テーブルの下に入ろうとしたり。大声で『は? なに?』と言って、怯えているようでした。私も驚いて混乱しましたけど、近くにお子さんもいたので冷静にふるまうよう努めていました」
元来は落ち着いた雰囲気を持つ夫だけに、この行動は新妻を少々落胆させてしまったようだ。しかし、非常時に取り乱してしまうのは致し方ないことではある。
「結構長い間横揺れが続いて、周りのお客さんたちも『自分のめまいかと思った』と言ったり、早速スマホで情報収集したりして狼狽していましたね。
夫も揺れが収まったことを確認するや、スマホを出していろいろ調べ始めて『石川県で起きた地震らしいよ』と教えてくれました」
一旦はスマートフォンを置いて残っていた飲み物を飲むなどした夫だが、数分経って落ち着きを取り戻すと、再びスマートフォンを開いたという。
「最大震度7ってどの程度なんだろうと、夫はしきりに気にし始めました。新潟県に親戚がいるので心配しているのかなと思いましたが、どうも違うようで」