ついに年の瀬。仕事納めをした人も多いのではないだろうか。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「今年はカレンダー通りにすると年末年始の休暇が少し短めです。というのも12月30日31日が土日に当たるから。このため、29日まで出勤にして年始の4、5日を休暇とするような企業もあるようです」。
年末年始、仕事は休みになる。しかし、主婦(夫)業や親業に休みはない。
「家事に休みをもたらすためにおせちがあります。しかし、お節だって誰かが用意をして、提供するわけですよね。お手伝いさんのいるようなご家庭でない限りどうやったって、働く人はでてきてしまうのです」。
今回は早々休みを迎えた夫と早速、バトルになっているという主婦に話を聞くことができた。
………………………………………………
小池恵さん(仮名・46歳)は、在宅でwebデザイナーとしてフリーランスで働いている。
「私は29日までがっつり仕事です。フリーランスなので、やれるときにやっておかないとという感じ。どうしてもと頼まれた仕事が入ったので、もしかしたら30日も働くかもしれません」。
恵さんはコロナ禍を経て、フリーランスに転職した。
「リモートワークを機に、勉強を始めました。今はまだ駆け出しというか、クライアントワークばかりで直接契約がないので、数をこなすことが重要だなと思っています」
フリーランスになって2年。特に長期休みは鬼門だと話す。
「長期休みはなにせ、給食がありません。3食用意しなきゃならない地獄。これ、専業主婦であっても超大変だと思います。そして何が辛いって、家が1人の空間じゃないこと。いつもならシーンとしている家に人がいるってだけで集中力を失います」。
そんな恵さんをさらなる悲劇が襲う。
「夫が有給を使ってクリスマス前から休んでいるんです…」。
恵さんは当初、淡い期待をしていたそうだ。
「私は少なくとも29日までは仕事だと話していました。だから25日から休むということは、少しくらい手伝ってくれるんじゃないかと思っていたんです。人に期待していいことはありませんね、本当に」。
恵さんの夫は普段から家事をしているのだろうか?
「もともと家事をまるでしない人でした。年代もあると思います。私より10個上で、さらに超田舎育ち。専業主婦のお母さんとおばあちゃんに至れり尽くせりされてきているからか、家事は女の仕事と完全に信じ込んでいるタイプ。このことで幾度となく喧嘩をしてきました。ゴミ捨てぐらいやって欲しいといくら頼んでもやらない、そんな人です」。
そんな夫にどうして淡い期待をしたのだろう。
「ここ数年、料理にハマっていて、お教室にも通っているんです。だから、料理くらいはやってくれるんじゃないかって思ってしまったんですよね」。
恵さんは期待が外れるどころか、今、どん底の気持ちだと話す。
「先週から、子どもが1人増えたという感覚です。いや、子供よりタチ悪い」。
事の発端は、終業式の日だ。恵さんは、子供たちと自分のためにお弁当を作ったと話す。
「小学生と中学生で、まだ昼ごはんを自分で食べることはできないので朝、作りました。夫には前日確認をしたところ、出かけるというので私の分を含めた3人分です。私は子供部屋にこもり切りになって朝から仕事をしていました。昼過ぎに子供たちが帰ってきたら、一緒にお弁当を食べようと思っていたんですが…」。
子供たちが帰ってきた音を聞き、恵さんがキッチンに行くとそこにあったはずのお弁当が1つ足りない。
「驚きました。えっ???って」。
お弁当泥棒の犯人は1人しかいない。夫だ。恵さんは頭に血が上ったと話す。
「信じられなくないですか?勝手にお弁当を持っていくなんて…せめて一言声をかけるとか、あるじゃないですか」。
夫はすでに出かけており、その姿はない。恵さんはその日午後中イライラが収まらなかったという。
「帰宅したらガツンと言ってやろうと思っていたんですが、待てど暮らせど帰宅せず」。
お弁当を勝手に食べられてしまっただけでなく、夕食の準備すらしてくれない夫に嫌気がさした恵さん。しかし、帰宅した夫の言い訳を聞いて、さらに怒りを抱くことになる。【後編】では、恵さんの地獄の冬休みについてさらに話を聞いていきたい。
取材・文/悠木 律