ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE 女たちの事件簿

不妊治療の果てに待っているのは、命の選択なのか…。出生前検査に悩み続けた40代夫婦のリアルすぎる告白。

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録
不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

35歳を超えての初めての出産は、一般的に高齢出産と呼ばれる。高齢出産は医学的にさまざまなリスクが高まるとされ、2人目であっても40歳以上は高齢出産だ。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。

「有名人の40代での出産ニュースを耳にすることも少なくありません。女性の社会進出やライフスタイルの多様化など、晩婚化が進んでいることも大きな理由でしょう。さらに体外受精による出産も増えており、日本産婦人科学会の調査によると2021年では11.6人に1人の割合です」。

リスクが高いとされる高齢出産とセットで語られることも少なくないのが、出生前検査だ。医学の進歩とともにその方法にもさまざまなものがある。

「なかでも2013年に臨床研究の一環でスタートしたNIPT検査は、2022年7月から新制度のもと、全国各地の認定された病院で受けられるようになりました。これは母体の血液を使う検査で、いわゆる羊水検査や繊毛検査と異なり、胎児へのリスクが少ないことから、注目されていますが、この検査ですべての病気がわかるわけではありません。さらに偽陽性の可能性もゼロでないことも知っておくべきでしょう。検査には限界があるということを理解した上で受ける必要があります」。

そもそも出生前検査はすべての人が受けるものではない。

「日本では出生前検査を受けない人の割合の方が多いです。どの検査であってもしっかりとした説明やカウンセリングを受けた上で、納得して受けることが重要です。検査結果によっては、大きな悩みに発展しかねないですからね」。

センシティブな問題であるがゆえ、当事者の声がなかなか聞こえないのが出生前検査だ。しかし、検査を迷う人が本当に知りたいのは「他の人はどう迷い、どう決めたのか?」だ。

今回は高齢出産に伴い、出生前検査を受けるかどうか迷い続けた夫妻が話を聞かせてくれた。

……………………………………………

Yahoo! 配信用パラグラフ分割
©︎GettyImages

松原貴子さん(仮名・44歳)は、2年前40歳で妊娠、出産を経験した。

「36歳で結婚。すぐにでも子供が欲しかったんですが、なかなかできず不妊治療をスタートし、40歳でなんとか妊娠に漕ぎ着けました。不妊治療をしている間もずっと出生前診断については、頭の片隅にありましたね」。

貴子さんと夫は、大学の同級生だ。

「30代になってから再会しました。結婚を前提にお付き合いを始めましたが、互いに仕事も順調だったので、時期を見計らって婚姻届を出したという感じです。正直なことをいえば、『子どもはすぐにできる』とたかを括っていたんです」。

貴子さんの姉と妹がそのときすでに母になっていたことも大きい。

「姉と妹に子どもがすぐできたんだから、私も大丈夫ってなんとなく思ってしまっていたんです。それに36歳って高齢出産のなかでも若い方じゃないですか。だから、当初は出生前診断についてもまるで考えていませんでした」。

しかし、貴子さん夫妻に思うように子供はできなかった。

「妊娠する=当たり前と思っていた私にとっては、結構ショックが大きかったですね。初めの半年〜1年くらいはまだしも、時間が経つにつれてどんどん心の奥底に見えない鉛が増えていくような感覚。なんで私だけできないの?そんな気持ちがわきおこったり、ちょっと不安定だったと思います」。

周りにも徐々に相談しにくくなったという。

「母や姉、妹は、私を少し腫れ物に触るような感じで。もちろん悪意があるわけじゃないっていうのはわかっています。あっちだって気まずいですよね。妹に至っては私が不妊治療を始めた後に3人目を妊娠したこともあって…。友達や同僚にもこういう話ってしづらいですよね。もっと長い間不妊治療をしている場合だってあるでしょうし。頭の中は不妊治療の不安や愚痴でいっぱいなのに、口に出せない、話題にしづらい、そういう悶々とした日々を過ごしていました」。

周りの妊娠に喜べない自分、当たり前に妊娠できない自分…自分を責めることも多かったという。

「時間は無常にも過ぎていきました。夫とは外出をすることもありましたが、ネットサーフィンしている時間もすごく多かったですね。愚痴を吐き出せない分、そういう記事を検索してしまったり、コメントを探してしまったり…。そういうなかで、徐々に出生前検査についても知識が蓄えられていったように思います」。

今思えば、偏ったものだったかもしれないと貴子さんは話す。



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5