ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
CAR 得するクルマ生活

BEV以上に大事なこととは?ジャパンモビリティショーで国産車の底力を見た!

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

■本来欧州は「クリーンディーゼル」で進むはずだった

日産が初代リーフを発売した2010年ごろのBEV聡明期、環境性能の必要性が強く求められるようになった当時は、日本も「ゼロエミッションのBEVは素晴らしい」という風潮であったように思う。まだまだガソリン車が主流であり、1997年に発売となったプリウスをはじめ、ハイブリッド車は存在したものの、まだまだその数は少なく、また高価であったことから手にする人も少なかった。

このころ欧州市場では、クリーンディーゼルユニットによる低CO2が強くアピールされていた。そのままクリーンディーゼルで環境問題に対応していこうとしていた矢先の2015年、VWのディーゼルゲート事件が発覚。これによって欧州市場は軌道修正を余儀なくされ、そこで白羽の矢が立ったのがバッテリーEVだった。おそらくハイブリッド技術で先行する日本のメーカーに対する挑戦(もしくは抵抗)だったのだろう。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割
ホンダのプレリュードコンセプト。BEVではなくハイブリッド車だという

BEVの先進国とされる中国は、この欧州市場のBEVへの流れを政策に利用しただけだ。もちろん環境に対する懸念もあってのことだったようだが、その裏には、BEVを強引に普及させることで世界にリーダーシップを示したいという狙いのほか、中国国内における石油への依存度を低下させることで、エネルギー調達の安定化を図りたい、という意図もあったようだ。

 

■敵はガソリン車ではなくCO2、マルチソリューションで総力戦をするのが望ましい

ただトヨタをはじめとする国産車メーカーは、これらの動きに動じることなく、ガソリン車もハイブリッド車も、BEVもプラグインハイブリッド車も、あらゆる方策で、CO2を削減しようとする方向を進んできた。グローバルでは、モーターショーといえばBEVであることが大前提で、それ以外の「ローテクの内燃機関車」は、ショーには不要、並べすらしない市場もあったほどだが、今回のJMSはその姿勢を象徴していると思う。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

今回のJMSを見て、「BEVが少なかったからダメダメ、日本はBEV後進国だ」と論ずる人もいるかもしれないが、筆者はむしろ「BEV原理主義」的な思想のほうが古めかしいんじゃないだろうかと思う。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割
レクサスブースに展示されていた「ROVコンセプト」。ヤマハの四輪バギー「YXZ1000R」をベースとする水素エンジン車だ

BEV推進派の主張は、「内燃機関を持つクルマを完全に排除して、全てのクルマをBEVとすれば、走行中のCO2排出はゼロになる。BEVを走らせるための電力を発電する際や、車両製造段階で生成される大量のCO2は、今後の技術進歩でどうにかなるはず」というもの。ただ、その走らせるための電力確保や車両製造段階で生成される大量のCO2に対しては、具体的な解決策はまったく示されず(原発もダメだというし)、そもそも主張が破綻している状況。それでもまだ「BEVでなければならない」と主張する。

Yahoo! 配信用パラグラフ分割

国産メーカーの、利用シーンに応じてパワートレインを使い分けて賢くCO2を削減していこうというのは、いまできる最善策だと筆者も思う。再生可能エネルギーに満たされている地域ではBEVが使えるだろうし、スピードレンジが高い利用をするのであれば、やはり現状では内燃機関が最適だ。それ以外はハイブリッド車やプラグインハイブリッドで対応する。敵はガソリン車ではなくCO2だと伝えていきたいものなのだが、勢いづいた大勢に抗うことはなかなか難しい。

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:MMM-Production



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5