模擬試験に関するトラブルが立て続けに報告されている。
兵庫県のある県立高校では、模擬試験を受けた3年生のうち122人分の名前や自己採点結果がウェブ上にアップされ、同学年222人全員が閲覧できるようになるというトラブルが起こった。
現在、模擬試験もICT化が進み、かつてのように結果が紙で返されて、その紙に偏差値や志望校の判定が記されているということはない。指定されたウェブサイトに、自身のID番号やパスワードを入力し、自身の結果のみをウェブ上で見るというのが一般的な模試結果の確認方法だ。
しかし前述の県立高校では、自身の結果を見ようとした生徒が、自分以外の生徒全員の結果も閲覧できる状態であったという。原因は、教員が生徒に模試ウェブシステムへのログインを促す際に、誤って教員用の閲覧URLを掲載したことによるそうだ。
教員は、自分が担当する生徒全員の成績を把握するために、生徒とは別のIDとパスワードを用いて、受験者全員の成績を閲覧できるようになっている。
その、教員だけができる閲覧を、生徒全員が可能な状態にしてしまったというのが大筋の所だが、結局1日たってから気づいた該当教員が、模擬試験の実施会社に連絡を行い、閲覧できる状態を止めてもらって事なきを得たようだ。
もう1件も、起きていることはほぼ同じだ。
こちらは熊本県にある県立高校で、40代の男性教諭が3年生232人分の氏名や志望校・模試の結果などデータを誤って3年生全員が共有・閲覧ができるクラウドにアップロードしたというもの。兵庫県の事案と同様に、教員のミスにより生徒の個人的な情報が漏れているという状況になる。
アップロードから20分後に生徒2人が指摘し発覚したそうだが、保護者からも模試に関する個人情報がSNSに掲載されているとの指摘が入った。即座にアップロードした情報を削除したそうだが、その後もそれが引き金となって問題が起きるのではないかという懸念はぬぐえていない。
模擬試験というのはそもそも、各予備校や塾、企業などが実施する、入学試験本番を想定した試験のことだ。
本来は、各予備校や塾と子どもたちの間でやりとりが為されるべきものなのだろうが、教育活動をしていく上で活用する必要が出てくるため、特に高校では、「学校で模擬試験を実施する」という状況が発生する。
そして実はそのことが教員の業務を増加させ、ここまで述べたようなトラブルを招くことにもなっているのである。今回は実際に模擬試験に関する業務を担当する、高校の教員の方々に話を聞くことが出来た。