【前編あらすじ】
5年間の不妊治療ののち、43歳で自然妊娠した大堀るいさん(仮名)。辛い妊娠生活の中、夫や友人から胎児の遺伝子異常の有無がわかる「羊水検査」を強く勧められる。るいさん自身は羊水検査を「命の選別」だと感じており拒否するも、夫の考えは全く違うようで……。
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夫は羊水検査を強く望んだ。
「そのことでかなり夫と揉めたんです。彼は私とは完全に反対の意見。あれだけつらい思いした後でようやく授かったのに、障がい持ってる子だったらまたそれ以上の苦労が始まるぞって……。根本的な考え方の違いかなとは思うんですが、私そこは本当に譲れなかったので、つわりで吐きながら議論しました」
夫はるいさんの顔を見るたび、「ここまで苦労して授かってもし子供に障害があったら、俺は耐えられる自信がない」と言った。るいさんはそもそも羊水検査の信憑性に懐疑的だったという。
「検査で何もなかったのに、障がいのある子を産んだ人も私の知人にいるんです。私、正直信用してないんですよ、羊水検査。証明のしようもないわけですよね。でも、夫は最後まで受けようと言いました。つわりで寝そべったまま毎晩ケンカという、壮絶な感じでしたね」
羊水検査は結局るいさんの意見を押し通して受けずじまいだった。不安がないといえば嘘になるが、リスクに怯えるなんて高齢での妊娠を望んだことと矛盾する、とるいさんは覚悟を決めた。
つわり収束後は、幸いにも妊娠合併症なども見当たらず、つかの間の平穏な日々を過ごしたという。
「安定してからは少し尿たんぱくが出たくらいで、高齢妊婦の方にリスクが多いとされる症状もなし。自然分娩でもいけそうだけどどうする?と担当の先生と助産師さんに聞かれました。
憧れの自然分娩を選んだのですが、結論から言うと帝王切開にすれば良かったと後悔しています。帝王切開もつらいし大変だと思うけど、ちょっと陣痛と分娩が大変すぎて」
体も若いしいけるでしょうと太鼓判を押されていたが、予想外につらいお産となったそう。