「奢ってほしいとは思いませんが、お会計がスマートじゃないのは嫌です。ダサいし」
くすくすと笑いながら話すのは、都内でOLをしている斉藤百花さん(27歳・仮名)だ。
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昨今、SNSで話題の「奢り奢られ論争」。
デートにかかる金額を「男性が支払うべきか、そうでないか」について、SNS上で論争が巻き起こっている。
「女は化粧品1つ買うのにも4000円~5000円、美容室もカットとカラーで1万円かかる。可愛いを作るのにお金がかかっているのだから、男性が食事代を支払うのは当然」という女性側の意見と、
「男ってだけでなぜすべてのデート代を負担しなければいけないのか」という男性側の意見がバチバチにぶつかり合い、多くの著名人もこの問題について言及している。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は言う。
「奢り奢られ問題は、定期的に炎上が起こる話題の一つでもありますね。
奢りたい男性の気持ち、奢られたい女性の気持ち。どちらも分からなくはないですが、『あなたが払って当たり前でしょ』といったスタンスで来られると男性はモヤモヤしてしまいます。
絶対に奢る派なのか、割り勘派なのか、臨機応変に対応する派なのか、とにかく相手に不快感を与えないようにすることが大切です」
お会計を奢る男性は魅力的なのか、女性に奢るのは紳士のマナーなのか――。
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大学卒業後、都内建築メーカーで人事担当として勤務している百花さん。年収は約400万円で、一般的な20代女性にしては高いほうだ。
大学時代の3年間、週に2回ほどキャバクラ勤務をしていた彼女は、ずっと「お会計は男性がするもの」「男気はあったほうが良い」という価値観を持っていた。
交際してきた彼氏は年上が多く、すべて奢りとまではいかないが、彼が8割、百花さんが2割程度で支払うことが多かったようだ。
「付き合ってきた彼氏や仲が良かった男性は私より収入が多いので、お会計は自然とあちらが払うことが多かったです。
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奢り奢られ論争は友達の間でもよく話題になりますよ。特に『初デートで割り勘だった』話なんかだと、『うわーないわ~。初デートは頑張ってほしいよね』となりますね(笑)
こちら側も、もちろん最初からすべて奢ってもらうのが当たり前とは思っていませんよ。財布には最低2万円は入っていますし。
でも最初の2〜3回のデートは印象が大事だと思っているので、男性が多く支払うべきかなー。男気がない人よりは、ある人がいいですよね」
実際、世のカップルはどちらが多くデート代を支払っているのだろうか。
IT事業を展開する某メディア会社が、全国の18歳以上の男女2450人を対象に調査を行った。
その結果、男性の1回あたりのデート代は、平均が6805円、中央値が5000円。女性の1回あたりのデート代は、平均が2612円、中央値が2000円だった。
「デート代は誰が支払うか」については、「男性が多めに払う」が最多の50.4%、「男性が全額支払う」が17.8%、「割り勘」が30.1%、「女性が多めに払う」が0.8%。
女性のほうが多く支払っている割合は、全体の0.8%とごく少数派だ。
奢り奢られ論争では「割り勘派」や「奢られたくない派」の意見も見受けられるが、このデータを見ると、男性側の負担が大きい派だけで7割近いのが現状だ。