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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「子供だけのお留守番が、なぜ虐待なのか?」埼玉のとんでも条例の背景にあった「男尊女卑な昭和親父たち」の根深すぎる闇。

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

「専業主婦にもなれないなんて…」

埼玉県議会福祉保険医療委員会である条例改正案が賛成多数で可決された。内容は小学3年生以下の子どもの放置を「虐待」と位置付け、禁止するものだ。これだけ見れば、わからなくもないがその内容が酷すぎると物議を醸している。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏が語る。

「放置の定義があまりに生活感とかけ離れていることが大きな原因と言えるでしょう。主に子供だけの登下校や子供だけでの公園遊び、子供だけの短時間の留守番、お使い、などが禁じられるないようです」。

確かに諸外国では当然とされているものもあるが、今の日本の生活感ではさすがにやりすぎ感が否めない。

「子供だけを残してゴミ捨てにいくことや高校生の兄弟に子供を預けて出かけることなども禁止されています。シングルでお子さんを育てているご家庭はもちろん、これでは共働きのご家庭にとっても到底、守ることはできないでしょう。さらに言えば、専業主婦だとしてもこれを守り続けるのは不可能と言えるのではないでしょうか」。

最終的に県内だけでなく、全国から批判を浴びて、自民党県議団は提出していた改正案を取り下げる方針を明らかにした。

「今の暮らし、子育ての環境からあまりにもかけ離れた改正案が一旦可決されていることに闇を感じますね。この委員会には、リアルに子育てしている人がいないと言われても仕方がないほどです。子どもの命を守ろうという趣旨は間違ってはいません。確かにアメリカなどでは、誘拐の多さから、実際に罰則のある州もあると聞きます。ただ、今の日本の治安とリアルな生活を思い浮かべれば、このような案など出ないと思うのですが…」。

しかし、世の中には同じように当事者ではない人たちが勝手にいろんなことを決める場面が数多く存在する。今回は、まさにそんな現場にでくわした女性に話を聞くことができた。

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©︎GettyImages

浜島景子さん(仮名・48歳)は、今年から町内会で係をしている。

「やりたくはありませんでしたが、輪番制なので仕方なく。仕事は町内会費を集めること。それから、夏と秋のお祭りのお手伝いをすることです。私の住んでいる地域は、お祭りが多く、今年はコロナが明けたこともあって、夏から秋にかけてお祭り三昧でした」。

この係を取り仕切るのが、町内会の理事と理事長だ。

「理事長は近所では有名な地主のうちの長男。今年、お父さんから引き継いだみたいです。そのほかの理事会メンバーは、見事におじさんだらけ。今どき信じられません。結構異様な雰囲気ですよ」。

理事の多くは現役を引退した人たちで、家にいづらいこともあり、理事会にはフル参加ということらしい。

「団塊の世代特有と言いますか、奥様は専業主婦が基本なんですよね。みなさん、そこそこの会社にお勤めで退職をして、天下り。今は仕事をやめてゆっくりしている70代がメインです。二世帯住宅のおうちも多く、孫の世話をしているなんていう方も少なくありません。親類や親が近くにいない私には想像し得ない世界です」。

さらに係の仕事は驚きの連続だったと景子さんは話す。

「会合はたいてい平日。学校のPTAとかの集まりもそうですが、働いている人のこと考えたことあるのかな?っていう時間設定ですよね。今回の係の面々は働いている人がほとんどだったこともあり、理事会にお願いをして、平日の夕方以降か、土日に会議を変更してもらいました。でもこれも一悶着あって…」。

理事会のメンバーたちが、景子さんをはじめとする係のメンバーに浴びせた言葉は、ハラスメントでしかない。

ー専業主婦にもなれないなんて…。

ー昼間働くっていってもパートなんだから休めるだろう。

ー共働きと言っても夫がほとんど稼いでるんだろう?

「こちらは丁重にお願いをしているんですよ。それなのに返ってくるのはこんな言葉ばかり。目上の方ですし、もちろん気は使いますが、流石にムッとしてしまいました。そうしたら…」。

ーこんなことで腹を立てる女はモテない。

ーこっちが折れてやっているのに。

ー最近の若いものは礼節がない。

この言い草だ。とんでもない親父たちである。それでも景子さんたちはなんとか耐えて、その場をやり過ごしたと話す。

「私はこちらに住んで15年になります。隣近所はとてもいい方ばかりですし、治安も良好。ここで揉めて引っ越すなんてこと、今更考えられません。理事会のじじいどもは、本当にいけすかないとしか言いようがありませんでしたが、係のみんなで愚痴をこぼしあったりしながら、なんとか1年耐え抜こうと思っていました」。

ところが、更なる問題が起こったというのだ。その日の理事会の議題に上がったのが、秋のお祭りにおける役割分担だった。

「秋のお祭りは神輿が出ることもあり、かなり大掛かりになります。理事会や係だけでは、手一杯なのでさらに地域からお手伝いを募集するそうなんです。とはいっても一般の人が手伝いに加わることはほんとどありません。そこに手伝いにくるのが、世話役を名乗る有志なんです」。

この有志のメンバーがとんでも親父たちをさらにつけ上がらせる行動に出る。【後編】ではさらに詳しく、その内容について迫っていきたい。

取材・文/悠木 律



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