中学生の頃までは、小さな子供が好きだから、将来は保育士か教員になるのもいいかもしれないと言っていた美久さん。孝代さんは、美久さんがいつかは子供を持ちたいと思っているはずだと、それも勝手に信じ込んでいた。
「こんな世の中で子供産んで、どうやって幸せになれっていうの、と娘は言っていました。子供が減って、将来国民1人ずつにかかる負担は今よりさらに大きくなることも目に見えているし、国が軍事費を増やしたりミサイルが飛び交ったりしているなかで、もし他国のように徴兵制でも始まろうものなら、かわいいわが子を軍隊に行かせなければならないのよ、と真顔で言うんです。軍隊だなんて......そんなふうに考えているとは、正直驚きました。私はそんなこと、考えたこともありません」
少子高齢化が加速度的に進み、物価高は止まらず、地球環境は最悪。どこに子供を産みたくなる要素があるんだ、と娘は淡々と語ったという。彼らが結婚を避けるのは、ただ面倒だとか楽だとか、その程度の理由だろうと高をくくっていた孝代さん。
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