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孫誕生で「憧れのジジババライフが手に入る」と勘違い…毒親は何歳になっても治らないのか?

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

厚生労働省の令和3年度の調査によると40代女性の出産数は約5万人だ。20代や30代の出産数が減少しているのに対して、40代の出産は増えている。晩産化はこの統計からも明らかである。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹はこう話す。

「平均寿命が伸び、人生100年時代と言われるようになった昨今。統計上は40代での出産が晩産に当たるかもしれませんが、一口にそうまとめてしまうのもどこか乱暴に思えます。仕事柄、多くの人にお会いしますが、実感として40代での出産が増えていると感じます」。

確かに40代での出産への驚きは、もうさほどない。

「ただ医学的な観点から見ると年齢増加に伴い、妊孕性=妊娠する力が低下することも事実です。そのほかにも最近よく耳にするのが、晩産化による孫と祖父母の関係性について。言うまでもなく、晩産であればあるほど、親の年齢も上がります。そのことで生まれる弊害もあるようです」。

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山内ほなみさん(仮名・44歳)は、10年前に結婚。不妊治療を経て、2年前待望の子をもうけた。

「夫とは10年以上の付き合いで、結婚したものの子どもを産むかどうかは決めかねていました。ただ38歳を過ぎた頃から、両家の両親から孫というキーワードが出てくるようになり、最終的に夫婦で決めて、子どもを産むことにしたんです」。

両家の両親はどちらも健在だ。特に自身の両親からは強いアプローチがあったと話す。

「地元の幼馴染は、ちょうど30歳くらいで子どもを産んだ人が多かったんです。実家に住んでいたり、近くに住んでいたりして、孫との交流も盛んでうちの両親はそれを見て羨ましかったんじゃないかな。ジジババになりたいっていうか」。

ほなみさんには5歳年上の兄がいるが、彼は日本にはいない。海外暮らしが長く、結婚もしないつもりと話しているという。

「兄は自由人なんで、両親も結婚を諦めている感じです。夫の実家は義理兄家族と同居していて、そこには子どもが4人もいるんです。ジジババライフを満喫していることもあり、私たち夫婦に強く求めてくることはありませんでしたが、時折、いとこがいるといいのにねとは言われることも」。

そんななかの出産。ほなみさんの子は皆に大歓迎されて誕生した。

©︎GettyImages

「両親は76歳で初孫でした。本当に嬉しそうで、出産してよかったと改めて思いましたね。両親は里帰り出産をイメージしていたみたいですが、私は早期復帰をしたいと考えていたので、母に東京にきてもらうことにしました。2週間ほど、家に泊まり込みでいろいろと面倒を見てもらいました。22歳で家を出て、久しぶりに一緒に暮らしたので気恥ずかしさもありましたが、すごく幸せな時間だったんですけど…」。

ほなみさんには気になることがあったという。

「予想以上に母が歳を取っていたんですよね。見た目というよりは行動?段差につまずきそうになったり、掃除も洗濯も、食事の用意もこれまでよりすごく時間がかかっているように見えて…。もちろん、慣れない場所ですし、仕方がないところもあるんですけどね。もちろんボケてるとか、物忘れがひどいとかそういうことではないです。一番驚いたのが、食事の味付け。とにかく濃くてワンパターン。初めは懐かしい気持ちでいっぱいでしたが、一緒に暮らすのは2週間が限界でしたね」。

そうして、母は田舎へと帰っていった。

「来月も泊まり込みで手伝いに行くねと言われましたが、やんわり断りました。老いた母を見るのは、ちょっとしんどいかなって。それに復帰に合わせて保育園入園が決まっていたんです。だからそれまでは家族水入らずで過ごすよと。もちろんあそびには来てくれていいからねと言いました」。

翌月から、父と母は揃って孫に会うためだけに往復4時間かけて東京に通ってきたという。2人はほなみさんに言われた通り、孫を愛でて泊まることなく帰っていった。

「確かに泊まることはありませんでした。でも両親がくるたび、私は結構疲れてしまって。老いについては受け入れなきゃと思っていたんですが、それ以外にも子育てにちょっと口を出すようなところがあって…。例えば、おむつを取り替えるタイミング。今のおむつってすごく性能がいいんですよ。だから一晩中替えなくても、おしっこだけなら問題ありません。確かにサイズが合わなくて漏れてしまったこととかはありますけど」。

それを聞いた両親が揃って「夜中に一度替えないとかわいそうじゃない?」と言い出したんだという。

「驚きました。もちろんうんちをしたり、泣いたら替えますよ。でもそれもないならゆっくり寝かせてあげたいので。ただこれ以上反抗するのも面倒だったので、そうだね、と受け流しました」。

ほなみさんは出産して、初めて知った両親の姿に戸惑いを隠せなかった。ただ、一緒に暮らしているわけではない。月に数回なら仕方がないとなんとなく、話を合わせて過ごそうと決めた。そして出産後、およそ4ヶ月で仕事に復帰した。

「園活も計画的に行っていたので、4月入園が叶いました。保育園があるという安心感は半端ないです。送りは夫の担当で、お迎えが私の担当。入園してあっという間に1年経ちましたが、かなりリズムはできてきましたね。小さい頃の夜中のミルクやおむつも夫と2人でやってきたので、最近の夜泣きも2人でなんとなく順番に対応しています」

そんなほなみさんが両親から困ったお願い事をされたのがこの夏のことだ。後半は、年老いた親の発する、時代錯誤の発言に悩むほなみさんにさらに詳しく話を聞いていく。

取材・文/悠木律



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