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「子供より早く、ドンドン先生が消えていく…」文科省の「どうしてそっちへ?」的、無策すぎるリクルート作戦。

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文部科学省は、公立学校教員の採用1次試験を来年度から6月に行うようにと各都道府県等に呼びかけた。

教員試験と縁のない方々にとっては、それがどのような変更なのかもピンと来ないだろう。

ところが、実は教員試験を受ける側や現職の教員たちはピンとこないどころか、あまりに的外れな対策に絶望しているという。

それもそのはずで、多くの自治体が、公立教員の1次採用試験を6月の末か7月の頭には行っているのだ。だから、いまさら「6月に行うように」という呼びかけに対し、「ほぼ変わらないし、そんなちょっとした変更に何の意味があるのか」という疑問がほとんどなのだという。

文部科学省としては、「民間企業に人材を取られてしまうという状況を防ぐため」というリクルート目的があるが、その方法がまったくの的外れだという指摘が多い。

関連する文科省の審議会の答申では、次のような記述がある。

「民間企業において、学生が内々定を獲得する時期、就職活動を終了する時期はますます早期化しており、民間企業の内々定解禁日(6月1日)までに、就職活動を事実上終了している学生も増加している。

民間企業等の就職活動の早期化により、就職活動を不安に思い、少しでも安定した就職先を決めたい学生は、教師を目指していても先に民間企業に就職先を決めてしまうとの指摘もある。

(中教審「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について(令和4年12月19日)」)

©Getty Images


しかし、そもそも教員試験は1次試験で終わりではない。

2次試験があり、3次試験を設けている地方自治体もあるため、1か月ほど前倒しにしたところで、民間企業等の就職活動スケジュールより、ゴールが遅いことに変わりはないのだ。

実際、6月の頭に1次試験を実施している高知県や北海道ですら2次試験が終わるのは8月。

そして合格発表はさらにその後なのだ。

「教員の数が減っている理由を、採用時期にあると考えている時点で、お話になりませんよ」

そう話すのは、都内の公立高校で教員を続けている信子さん(仮名)65歳だ。

彼女は定年とともに退職する予定だったが、「教員不足」にあえぐ高校に請われて、非常勤講師として今もなお教員を続けている、有志のひとりだ。

「『教員が足りない』なんて、由々しき事態なので、私なりに自治体やNPO法人なんかと協力して打開案を探していますが、文部科学省の対策や対応そのものに間違いがあると私は考えています。

このままでは、少子化で学校に子どもがいなくなるよりも前に、教員がいなくなってしまいます」

信子さんの言葉には危機感がにじみ出ていた。

「そもそも、6月の頭に試験を……とか3回生の時にも試験を受けていいよという制度変更は、現場の状況を知らない人が考えたものだとしか思えません。

現状では教育実習を5~6月に実施するケースが多いので、教員を志望する学生たちは、教育実習中に試験を受けることになってしまいます。本当に現場を知らないんだな、と文科省には絶望するばかりです」

☆つづく後編では、先生にでもなるか、先生にしかなれない…という、「でもしか」応募者の実態と、ついに行動を開始した「先生が足りない」高校生の声を、さらに詳細に明らかにする。この国にとって重要なテーマを考えるよすがとして、ぜひ読み進めてほしい☆

取材/文 八幡那由多

▶︎現場を知らない文科省の的外れっぷり


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