「ここまで没頭できたの、初めてだったんですよね。そこから広告関連の仕事に興味を持ち始めて、公務員を辞める方向へ気持ちが傾いていきました」
退職の意志を固めて母に伝えると、こんな言葉が返ってきた。
「今の仕事辞める? 何言ってるの。辞めて何するつもり? 変な考えしないで」
「IT関係の仕事だよ。動画編集に興味がある。これからの動画市場は大きくなる一方だし、今は趣味レベルだけどすごく楽しい」
「はぁ......。それって安定してるの? 今の仕事辞めるなんて許さないからね。うちは公務員一家なの。辞めるっていうなら今まであなたにかけた教育費、全部返して!」
まさかの発言に、裕哉さんは唖然とした。
父からも「趣味レベルで食っていけると思っているのか。公務員は辞めないほうがいい。もし辞めるならこの家から出て行け」と、酷い言葉を浴びせられた。
両親は、なぜここまで公務員にこだわるのか。それは、不況時にも強い「安定した仕事」だからだろう。
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