約2年半ぶりの会話だった。
長男が住んでいるアパートに初めて出向いた智子さんは、部屋の中を見て感心した。小さな子どもがいるのに、床やテーブルには物が一切なく、掃除が細かく行き届いている。M美はフルタイムでバリバリ働いていて、長男が出張中はワンオペのはず。そんな中でも、きちんと整理整頓され、リモコンやタオルがきれいに並んだ室内を見て驚いたのだった。
久しぶりに2人で会うので、お互い何を話したら良いのかわからずタジタジ。最初の30分は気まずい空気が流れた。
「すみません、ありがとうございます……。本当に助かります……」
M美は細い声で感謝を告げた。そして、智子さんが持参してきた肉じゃがを皿によそい、味噌汁をサッと作って出してあげると、M美はボロボロ涙をこぼし始めた。
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