⬛︎わがままと誤解されやすい「味覚過敏」
発達障害の子どもに食べ物の好き嫌いが多いという話を聞いたことがある人もいるだろう。
しかし、子どものつたない「好き、嫌い」という言葉の表現を額面どおりに解釈していると、大切なメッセージを見落としかねないという。
特性がある子は、”おいしくない””食べられない”という言葉の奥に、それぞれの「味覚過敏」を抱えているケースが少なからずあるからだ。
「味覚過敏」は単なるわがままと誤解されやすい。これも対応の仕方を間違えると、子どもの気持ちを見誤るおそれがあるという。味覚過敏のとらえ方についても小嶋氏に聞いた。
「白いものしか食べられないという“色縛り”がある子や、肉まんのように具が包まれたものは『中身が見えないから不安で食べられない』という子もいます」
中には、思わずイマジネーションをかきたてられるような、より独特な表現で食べ物を表現する子どももいる。
「以前担当した中に、白いご飯を口に入れると人間の歯を食べてるみたい、と言った子どもがいました。特性がある子たちは、私たちが一般的なイメージでとらえている以上に、食べ物に対していろいろなことを感じているようなんです」
こうした多様な感受性を持つ子に対し、食べられないことをわがままだととらえるのは大人の決めつけに過ぎない。小嶋氏によれば、食べ物を嫌がる子どもに対し、「一口でいいから食べてみなさい」などと無理強いしたりするのは絶対NGなのだそう。
「無理に食べさせてしまうと、食べさせられたことがトラウマになり、やがて食べることを拒み、最悪の場合は拒食症へとつながってしまう場合もあります」
小嶋氏がかつて受け持った中には、抵抗を感じず食べられるものがカレーライスしかない子がいたという。
「保護者はその子に合わせてカレーを週3回、具材を変えながら作っていたそうです。なるべく栄養が偏らないよう最大限工夫しながら、その子の感覚にしっかりと合わせてあげたということです」
このように、子どもが何を感じているのかをよく観察し、その感覚に寄り添うことが、味覚過敏・感覚過敏の子に対する基本的な対応方法と考えて良いそうだ。
☆また、6月に入ると新学期から少し時間が経ち、緊張していた子どもたちの精神バランスが乱れはじめる「魔の季節」を迎えるという。次回記事、「魔の5歳、9歳、13歳。発達障害、グレーゾーンの子が注意すべき「特定の年齢」では、さらに詳しく発達障害のお子さんの指導方法をお伝えします☆
イラスト・漫画 かなしろ にゃんこ