「義父には、『沙織さん、あなたもウチの人間になったんだから、ウチのやり方を学んでくれなくては困る』と言われました。『あなたは都会で生活しているから、そういう態度も許されるのだろうけど、こっちに来たら通用しない』と強い口調で責めてきたんです」
反発を覚えたものの、素直に受け入れた沙織さん。ところが、義父の横暴はエスカレートしていった。
「心の中では『オマエのような常識は、東京では通用しねえよ』と思ったんですが、なんとなく威圧されて、『はい』と答えてしまったんですよね。あるとき、義父が『沙織さん、お茶淹れて』などと指示してきました。義母は嬉しそうに『若くてきれいな沙織さんが淹れたお茶のほうが、私のお茶よりおいしいわよ。パパ、よかったわね』なんて言うんです」
どこからどう伝えていいかわからない、男尊女卑と女性蔑視。「若くてきれい」が褒め言葉だと思っていることもおかしい。
「そこで、義父はいい気になっちゃったんでしょうね。コタツの中で私の太ももに触ってきたり、私が入っているときに、お風呂の扉を間違えたふりして開けたりするんです。夫に行ったら『パパは偉い先生なんだよ。そんなこと絶対にしないし、オマエにそんな魅力があるかよ』って笑っている。異常です」
夕飯の席では「そろそろ孫の顔が見たい」と、プレッシャーもかけられた。
「義母は私にこっそりと、『赤ちゃんを授かるように○○大神(新興宗教)にお祈りしているから。私、御上様(教祖)と親しいから、いい名前を付けてあげられる。これはパパには内緒よ』と言ってきたんです。モラハラに加えて新興宗教か、と思いましたが、義母も結婚生活が辛いから宗教にすがったんだろうな、と少し同情してしまいます」
夫とは離婚する方向で気持ちを決めている。ただ、いざ離婚となると再び恋人を作らなければならず、“離婚した女”というレッテルが貼られるのが嫌で二の足を踏んでいるという。
都会に入れば、空疎な結婚生活でも逃げ場があり自由になれる時間もある。しかし、地方の場合そうはいかない。その虚しさを埋めるのが新興宗教なのかもしれない。
☆次回では、「女を産みたいなら、排卵日にアレを」「乱れ過ぎてはいけない」など、夫婦の性交渉夜にまで口をだす「過干渉姑」の闇についてレポートする。こちらも反面教師として読み進めてほしい。
Text:沢木文