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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「宿題忘れたら、小突く」「殴らない方が子供に失礼」いまだのさばる体罰教師の「理解しがたい屁理屈」

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「体罰はよくない」ということはもう周知の事実のはずなのに、いまだ教員による生徒への体罰事件は起きる。

最近でも、千葉県屈指のスポーツ強豪校・船橋市立船橋高校の男子バレーボール部監督が生徒への暴行容疑で逮捕されたばかりだ。

事件の多くは体育会系クラブの指導の中で行われ、1つが明るみに出るとどんどん発覚する傾向にある。

なぜ、いつまでたっても「体罰」というものはなくならないのだろうか。

©Getty Images

その理由について璃子さん(仮名・24歳)は自分の見解を話す。

「学生時代にいわゆる体罰的な扱いを受けながらもそれを受け入れて、なんならそれを信頼してきたような真面目というかなんというか……みたいな方々が教員になっているから、体罰事件は減らないのかもって思います」

彼女は英語科の教員として1年間高校に勤務し、さまざまな違和感を覚えながら暮らしてきた。

「みなさんがそうだというわけじゃないですけど、多くの年配の先生方が『ちょっとしたことで生徒が体罰だって騒ぐから指導がしづらい』とか『俺たちの頃は体罰なんて当たり前だったけど、今はうるさいからなー』『軽く小突くぶんには、問題にするほうがおかしい』っておっしゃっていて。世間がうるさいから体罰は行わないみたいな感じなので、とても驚きました。体罰というものが子どもに与える影響について考えているという発言や、体罰以外に子どもたちに指導する方法を積極的に考えようという発言はなくて……」

そんな璃子さんは生徒に声を荒げることもなく、にこやかに生徒に対応することを心掛けている。

「授業態度が良くない生徒や、すべきことをきちんとしない生徒も勿論います。私も人間なので正直に言うと、腹が立つときもあります。でも、『怒る』ことと『叱る』ことは違うと肝に銘じているので、いったん深呼吸をしてから注意を行うようにします。なかなか聞く耳を持たないのですが、そんな子たちには怒鳴っても同じではないでしょうか? 子どもたちは、怒鳴られると『怒鳴られた』という事実に反感を抱いたりショックを受けたりして、結局何をどうすればいいのかという部分がわからなくなってしまうというのが私の観察結果なのですけど、『あなたの対応が甘いから生徒が言うことを聞かない』と何度か叱られました」

確かに璃子さんの授業ははじめの2カ月ほどは少し荒れた。小柄で可愛らしいルックスの彼女を高校生たちは甘く見ていたのだろう。でも彼女はそんなことにはひるまなかった。大声で怒鳴ることはないが、常に自分が正しいと思うことを伝え続け、自分が正しいと思うことには惜しみなく賛辞を贈った。

「少しずつ子どもたちは私の話を聞いてくれるようになったし、私がどうすべきだと考えているかも理解してくれるようになったと思っています。でも、私のやり方は多くの先生方から不評でした。『子どもにナメられている』そんな言葉を幾度もかけられました。でも私はその『ナメられる』という言葉そのものが間違っていると思いました」

その後も他の先生から嫌味や小言を言われる日々が続くが、璃子さんは自分の意思を曲げず、生徒に接した。

「教員と生徒という立場ではありますが、私は人間同士の関係を構築していくことも『教育』の中に含まれていると思っています。だから、生徒が自分のことをナメているという発想そのものがもう、生徒を下に見ているんじゃないかと思えてしまって。確かに生徒たちのことは教え導いていかなければならないので、教員の方が前に立ったり上に立ったりすることは多いと思います。でも、私たち教員が子どもたちから学ぶことも本当に多いんです。私は、教員になってから、生徒の発言や態度の中からいろいろなことを学びました。でも私の言うことはすべてきれいごとだって、先輩の先生方には言われて……。『あなたが生徒たちを甘やかすから、あなたが担当しているクラスの生徒はあなたの言うことは聞くかもしれないけど、私たちの言うことは聞かない。生徒のご機嫌を取って、自分だけが生徒にいい顔をする先生は、先生の資質がない』そんなことをおっしゃる先生もいました」

璃子さんは深くため息をついた。彼女にそんなひどい言葉を投げかけた女性教員は、彼女が担当するクラスの生徒の頭を、「宿題をしてこなかったから」という理由で小突いた。



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