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「売り上げノルマもないし、お給料も安くないのに...」教師はブラック報道に、現役教師が思うこと。

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雪乃さんと似た状況に直面し、保護者からの電話が怖くてうつ状態になる人や、教職を辞めてしまう人もいる。雪乃さん自身も、序盤は、自分の指導方法に問題があるから電話をかけてくるのだろうと悩み、中盤の頃には、自分が電話で話す言葉や内容が相手に伝わらないことで悩んだらしい。

「でも、私がそういう悩みを抱えている間も、その保護者の方の子どもさんも含めて、私の目の前の子どもたちは健やかに育ってくれていました。たわいない話で笑ったりはしゃいだりしていたので、そういうのを見ていると、落ち込んだ気持ちが明るくなりました」

雪乃さんは、子どもたちのことがとても好きだ。高校生ともなると「子ども」と呼ぶことをためらうほどに大人びた子や体が大きい子もいるが、彼女にとってはどの子もみんな「未来のある子どもたち」だ。問題のある子どもも、やる気のない子どももみんな、なにかきっかけさえあれば、よい方向にむいていくと雪乃さんは信じている。

「私は、アンリ・ベルクソンの『存在することは変化すること』という言葉が好きです。どんな人間もみんな大なり小なりの差はあっても、変化を続けていると私は思います。だから、昨年、行動に問題があると言われていた子も、学習に問題があると言われていた子も、みんな、言われた時期から変化をしていると思うんです。

もちろん、よくない状態へと変化している場合もあります。それでもまた、よくなる可能性はある。そう思うと、ものすごく大変な指導や時期も、私自身が乗り切っていけました」

ただ、そう話す彼女を理解できない教員もいた。彼女の言葉を「偽善的だ」とけなし、彼女がただ恵まれていて脳天気だと評する教員との関係や、問題を起こす生徒と向き合い続ける大変さは、雪乃さんを苦しめた。

「私の発想や考えが『甘い』とおっしゃる先生は結構いらっしゃいました。また、私がこうやって『大丈夫!』と前向きにがむしゃらに取り組むことが、他の教員への圧迫になると言われたこともあります」

教職の大変な側面をポジティブにとらえる雪乃さんの前に立ちはだかったのは、彼女に対して反感を抱く教員だった。

教員は本当にブラックなのか? 雪乃さんがたどり着いた「答え」は、次回詳報する。

取材/文 八幡那由多

▶︎後編に続く


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