同業者同士の結婚というものは、良い面と悪い面がある。結婚というもの自体がそういうものだとうそぶく人もいるが、教師同士の結婚はどうなのだろうか。
今回は、その教師同士の結婚によって心が休まらない日々が続く、ある女性の話をFORZA STYLE「ライフ取材班」がお届けする。
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「後悔しています」
もちろんとばかりにそう言うのは綾香さん(仮名・28歳)だ。彼女は、新卒で採用された中学で、自分よりも5年先輩だった今のご主人と、24歳で結婚している。
先生になりたての彼女にとって、5年も先輩の先生は、とても仕事ができる素敵な男性にみえた。
初めてのことばかりで戸惑い悩む彼女に親身に寄り添ってくれる姿に、綾香さんは夢中になった。生徒たちに見せる厳しい姿と、自分にだけ見せるだらしない姿や、甘えた態度なども、魅力的に見えた。
「周りからは、もっとよく考えろと言われました。教員になったばかりの私より、5年先輩の夫の方が仕事出来るのは当たり前だって言われたし、もっと視野を広く持てとかも言われました」
綾香さんは、苦笑いをして言葉を続ける。
「今となっては、その人たちが言っていたことが正解だったんだなって、痛感しています」
男女間のトラブルに詳しい、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏も次のように述べている。
「新卒で右も左も分からない中、自分のことを助けてくれる存在が現れると少なからず好意を持ちますよね。しかし、『結婚』はこれまでの『恋愛』とはわけが違うんです。周りが見えなくなるほど好意が膨らむと周囲に耳を傾けるのも億劫になりがちですが、人生に関わる大きな決断をする際は一度冷静に、客観的な意見や視野を重視する必要があります」
だが残念なことに、その頃の綾香さんは、後に夫になる男性に夢中だった。
「生徒や保護者にはバレない方がいい」
その制約がスパイスとなり、2人の恋は燃え上がった。校区内からできるだけ離れたところで逢瀬を重ね、近くで会う時は帽子を目深にかぶったり、わざと離れて歩いたりした。
「生徒の前や、他の先生方の前で、あえてよそよそしく話すのも、ちょっとした楽しみでした。お互いあえて目を合わさずに話したりして、『仲が悪いんじゃないか』って噂を立てられて、それを2人で笑っていましたね。私たちだけしか、本当のことを知らないというのが、ちょっとした優越感というか。みんなを騙しているようで、少し気が引けましたが...」
楽しい時間を1年ほど過ごし、綾香さんが押し切るような形で、いざ結婚‼となった時、綾香さんは、現実に直面することとなった。
「びっくりするぐらい、全然祝福されなかったんです、職場で。教員になってまだたった1年で何をやっているんだみたいなことをたくさん言われて。挙句の果てには『あの先生、また新人に手を出したのか』みたいなことも言われて....。しかも、ようやく慣れはじめた学校からの転勤を命じられたんです。あれ? なんかおかしいぞ?と本能が告げていたのですが、それを認めたくない自分もいて」
しかし、これは綾香さんを待ち受ける悲劇の序章でしかなかった。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏がいう。
「学校や病院など、閉鎖的な空間での恋愛は独特なヒエラルキーもあることから、燃え上がりやすい反面、いろんなリスクがあります」
次回では、あまりにも厳しい現実を詳細にレポートしていく。
Text:女の事件簿調査チーム