その当時はコロナ禍だったため、大人数での会合や飲み会は控えるよう本部から通達が出ていた。
そのため人事異動をする社員の送別会はなく、各自プレゼントだけ渡してAさんは関東へ引っ越していったようだ。
「転勤する際、周りの社員がAさんに『単身赴任するの?』と聞いていましたが、奥さんも一緒に連れて行くと話していました。転勤は長くても3年なので、その間は都会を満喫するぞと、楽しみにしていたようです」
新入社員の頃から約7年、妹のように可愛がってもらったAさんと一緒に働けなくなるのは寂しく感じた。
しかしその寂しさもつかの間、仕事と育児で慌ただしい日々を過ごしていた。
その矢先、優奈さんの本店への異動辞令が出たのだった。
「本部には社員が200名ほどいて、支社に比べると人の多さは桁違いです。本部には今まで一緒に働いていた人や同期も数名いたので働きやすかったですね。なにより、色んな人がいるので刺激になりました。そして私が移動になって半年後、関東支社から転勤で帰ってきた子が同じ部署へ配属されたのですが……」
そう話す優奈さんは一気に顔が曇り始めた。
帰ってきた社員というのは、関東支社でAさんと一緒に働いていた2歳年下の男性社員だったのだ。
その男性社員から、衝撃的な真実を知ることになる。
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