しかも、突っ張っているというより本当に理解できないという感じだったので、「ばい菌」という名称を人間につけることがいかにひどい振る舞いなのかを、かなり長い時間をかけて話して聞かせました。また、相手の女子生徒がどのように苦しんでいるのかも言葉にして伝え続けて……。数ヶ月かかったと思います。
なにせ、集中力がないので、20分を超えると飽きて私の言葉はもう心には届かなくなってしまう。だから毎日毎日語って聞かせて、しかも『叱る』という態度をとるとまた確実に心に届かなくなるので、雑談のような感じを装いながら、自分のしたことを理解させて、相手の気持ちがどんな物かを伝え続けて……。
半年後にようやくその子は、一人の女子生徒を『ばい菌』と呼ぶのをやめました。ばい菌と呼ばれていた女子生徒にも同じような時間をかけてフォローを行っていたので、彼女の心も「ばい菌」と呼ばれてもさほど傷つかないというような状況まで保たれるようにはなっていましたけど、これって20年以上前なら小学校で行っていたような指導だよなと思いました。
恵さんはその経験から、小学校や中学校の先生たちとも交流し、絵本や児童文学の研究会にも顔を出すようになった。
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