オーナーからは店のグループラインから従業員に連絡が回ったそうだ。
・火事の件についてお客様に余計なことは言わないこと
・トイレについて聞かれたら、隣のケーキ屋さんに行ってもらうようお願いすること
・報道や取材が来たら、本部を通してほしいと丁重にお断りすること
これらを守るようにと連絡が回った。
それから警察の調査で犯人探しが始まった。
警察が何度も訪れ、防犯カメラから犯人らしき人物を探し出していた。しかし祭りの当日は人が多く、中々見つけるのは面倒だったようだ。トイレの中には防犯カメラは無いため、入っていくお客さんの中から探すしか無かった。地道な調査の結果、犯人は思っていたよりも早く見つかった。
「警察の捜査により犯人は見つかりました。若い高校生の2人組でした。2人は祭りに行った後、そこで出たゴミや新聞紙に火を付けて逃げたみたいです。カメラを見ると、どこか楽しそうな表情でトイレから出てくる、派手な服装をした2人組が映っていました」
今回の事件に関して一番怒りを見せていたのは店のオーナーだった。この店は15年以上続いている古い店で、その間一日も店を閉めた事がないのが自慢だった。しかしそれが不慮の事故とは言え、半日ほど店を閉めることになってしまったのだ。
さらにコンビニには経営の形態が様々なものが存在する。
売り上げの上下に関わらず、一定の収入を保証するタイプの店は、損害が出た場合本部が対応や保証をしてくれる。
しかし売り上げに応じて収入もどんどん上がるタイプの店の場合、こういった事故が起きた場合は店側で対応しなければならない。保険がおりるとは言え、トイレの改装や、灰が舞い散った店内の清掃、店に対して恨みがあるなどの憶測が広がるなど、問題に追われる日々となってしまったのだ。
「犯人はその後親御さんとともに謝罪しに来ました。さすがにここまで大きな事件になるとは思っていなかったらしく、反省していたようです。ただ高校生なので裏側の事情までは分かっていないというか、あまり心がこもっていなかったのが印象的でした」