「その少年の万引きも警察に連絡して防犯カメラの映像を見てもらいました。個人名はすぐに特定され、本人と親御さんに連絡が行ったみたいです。後日お店に品物を返しに来ることと、謝罪をするという話になりました」
万引きをした犯人は、近所で有名な不良少年だったらしい。
以前同じ学校に通っていたという、スタッフの女性はこう話す。
「この人は私の2つ上の先輩なんですが、中学の頃から不良で有名な人でした。親が建設会社をやっていて相当なお金持ちみたいで……。私も下校中によくからかわれたりしましたよ。でもどっちかって言うと人気があると言うよりは、1人ぼっちで嫌われてる感じの人だったみたいです。まさかうちのコンビニで万引きするなんて思いませんでしたが、なるべく関わりたくないですね」
その後万引き少年が店に謝罪に来ることになった。吉田さんはオーナーから「この日に警察と少年が来るからよろしく」と言われ、準備をしていた。
その日の朝9時頃に、警察官2人と少年がやってきたそうだ。
「40代くらいの上司らしい警察官の方と、新人っぽい若手の警察官の2人。犯人の少年は背が大きく、派手目なイケメンという感じでした。その3人に加えて、私と副店長とで事務所に入って話し合いをすることになりました」
吉田さんは警察の方も横にいたので、少年は深く反省していると思っていたそうだ。穏便に話し合いは進んでいくのかと思いきや、その少年はいきなり吉田さんに向かってこう言ったと言う。
「僕がやったって証拠あるんすか?ちゃんと証拠見せてくださいよ」
なんと少年が発したのは謝罪の言葉ではなく、証拠を見せろという強気な言葉だったそうだ。
「この人は何を言ってるの?って思いました。証拠があるからこうやって捕まってるわけだし。そもそも警察にもちゃんと動画を見せたのに。それも伝わっていないのかと……。突然のことで頭の中がパニックになりましたが、とりあえず防犯カメラで撮影された映像を見せました」
「あ~僕っすね。確かにやってますね、すいません」
あまりに反省していない態度に、吉田さんは怒りの感情がこみ上げてきた。その後少年は車内にある書類を取りに行くため、いったん店の外に出た。吉田さんは少年に怒りを覚えるとともに、横にいて何も言わない警察官にも強いイラ立ちを覚えたと言う。
吉田さんは警察官にこうたずねた。
「すいません、こんな事を言うのもなんですが、あの子全然反省していないように見えるんですけど……」
吉田さんは横にいた40代くらいの警察官にそう言った。
黒いサングラスをかけていかにもガラが悪そうな感じの警察官だが、返ってきた返事はこうだった。
「そうですね、だって反省してないですもん」
この言葉に吉田さんは唖然としてしまったそうだ。
「は???と思いましたよ。てっきり私は万引きした少年に厳しく注意くらいはして、反省させていると思っていました。でもその態度は投げやりで、少年に反省させる気すら全く無かったように見えたんです」