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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「この子、成長曲線からズレ過ぎだよ」ママ号泣。「一歳半検診よ、なくなれ!」と願った複雑な胸中。

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一方、夫の母親も長子の成長の度合いについてあれこれ口を挟んできたという。

「義母は『1歳3か月にもなって歩けないなんてどこかおかしいのではないか』といらない圧をかけてきました。義母の知り合いのお孫さんは11か月で歩き始めたとかで、あなたの働きかけが足りないんじゃないのって言うんです。なぜそんな言葉をかけて親である私の不安を煽るのか、意味がわからなかったですね」

沙織さん自身が子どもの成長具合を不安視し、親たちに相談を持ちかけているなら話はわかるが、そうではなかった。

「子どもの成長が遅いだなんて、こっちは思ってもいないし一言も触れていないのにわざわざ話題にするのはやめてほしいです。無神経ですよね……指摘されたら親がどんな気持ちになるのか、少しは想像できるはずですから。言われた日は泣けて泣けて仕方なかったです」

結局、長子は1歳4か月過ぎに歩き始めた。ほら、やっぱり全然心配いらなかった、と沙織さんは思った。

「当たり前ですが、うちの上の子は成長の順番も育児本に書いてあることや友達の子たちとはかなり違いました。普通は寝返りができるようになってからお座り、その後ハイハイするようになる子が多い印象です。で、ずり這いから高這いになり、やがてつかまり立ちっていうパターンが多いと思う。でも、うちはつかまり立ちするようになった後、かなり経ってからお座りするようになったんです」

なかなかお座りできないことに対しても、「身体的に欠陥があるのではないか」と義母はしばしばくちばしを突っ込んできたという。

「欠陥だなんてよく言えるなと思いましたね。もし体に何か原因があってお座りできないのだとしても、欠陥だなんて言わないでください、と姑に言ったんです。すると姑は、使う言葉は問題ではない。孫の体の心配をしているだけだから揚げ足を取らないでと言ってきました。夫は放っておきなよというだけ。心細かったですね……」

沙織さん自身は、子どもがお座りをしないことに対しても、心配してはいなかった。寝返りを打つ時やハイハイをする際の背中の筋肉の動きや全身の力強さを見ていると、なんら問題はないと思えた。

「いつも不安にさせるのは周囲の言葉や態度でした。私は不安に感じた時にだけ専門家に相談したいんですが……」

育児中は孤独を感じる場面が多いが、それはワンオペという意味だけではない。それぞれの子どもは個性も成長進度も千差万別であるにも拘わらず、親の中には「うちの子と標準的な子」を比べては不安に陥る人も多いだろう。標準などという半ば幻想のような指標を基準として思い悩み、つらくなってしまうのだ。

沙織さん自身は子どもの成長を不安視していなかったのに、周囲によって不安を植え付けられそうになっていた頃、タイミングを同じくして受けたのが1歳半健診だった。

☆母親や義母からわが子の成長についてとやかく言われていた沙織さん。その後の1か月半検診で彼女をさらに追い込む出来事が起こる。☆意味のある言葉を3つ言えなきゃ「要観察」? 1歳半健診で担当者と口論になった2児ママの憂鬱☆に続く。

取材・文/中小林亜紀

▶︎後編に続く


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