近年、女性用風俗やママ活など、女性側がお金を払って性や欲を満たすことが、肯定される風潮になりつつある。
自らの欲望を自覚した上で、それを己の力で叶えることは、力強くて前向きな生き方だ。しかし、お金を払ってまでそれらを得たいということは、普段の生活に渇望があるからともいえる。
その渇望とはいったい何なのか――。官能小説家、大泉りかが、「男を買う」女の心の内に迫るレポートシリーズ、第13回。今回は女性用風俗を経営する女性にお話を伺った。
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一層、需要が増しつつある女性用風俗店。そのニーズに応えるように、人気店のセラピストが独立して新規店舗を立ち上げるなど、店舗数が増え続けている。
と同時に、SMコースのある店や、M性感、アナル専門店などの特化型の専門店も誕生している。そんな中、2018年に日本初の女性用SM店「Lotus」を立ち上げたのが、元女王様で緊縛師の芙羽忍さんだ。
「SMは性感帯に触れなくても成立するものであって、もし性感帯に触れることがあったとしても、それは “おまけ”なんです。
女風のSMコースって基本的に性感ありきの、拘束と軽いスパンキング(平らなものや平手でお尻を叩くこと)みたいなこともする “SMっぽい何か” がスパイスとしてある。
緊縛をやっている方もいるみたいですし、行為としてはけっこう酷いことをやってる方もいると聞きますけど、あくまでもベースは性感だから、うちの店とは逆。
『Lotus』で行われていることは、女風のSMコースとは、まったく違います」
『Lotus』では基本的に性感的な行為は一切ない。例えばユーザーがディルド(男根を模したアダルトグッズ)を持参して挿入を頼んだとしても、必ずしも希望する形での使い方とはならない。それぞれのキャストが考える“SM的なディルドの使用法”となる。
「例えば、吸盤付きのものを壁に貼り付けて、頭を押し付けて疑似イラマをさせたり。だからただ寝っ転がっている間に一方的に攻めて欲しい、何かしてもらうことを期待する女性には、うちの店は向かないです」
ユーザー側にリテラシーが求められる一方で、働くキャストたちもしっかりと教育を施されているという。
「でも、実はそうでない店が多いんです」
Text:大泉りか
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